2015 Fiscal Year Research-status Report
新たな内分泌学的因子を包含した子宮内膜癌の分類と治療戦略の確立
Project/Area Number |
15K10723
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
齋藤 文誉 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20555742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 浩徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70304996)
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90224451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 婦人科腫瘍 / プロラクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】発癌への内分泌学的異常の関与が示されているI型の子宮内膜癌において、内分泌学的環境の評価を当施設で行ってきた結果、血中プロラクチン(PRL)値が高値を示す症例の存在が明らかとなった。このことを踏まえ、子宮内膜癌の発癌機構におけるPRLの関与を、他の内分泌学的異常とともに臨床研究および基礎研究の両面から解析し、その病態を明らかにすることを目的とする。さらに、解析結果に基づき、病理組織学、分子生物学、および内分泌学的因子を包含した新たな子宮内膜癌の分類の概念を確立させる。 【本年度の研究内容】当施設で加療を行った子宮内膜癌症例240例の症例収集を行い、患者の身体プロフィールから肥満の有無、血液検査からインスリン抵抗性と高PRL血症の有無を確認した。まずは、全症例を高PRL血症の有無により2群に分け臨床病理学的に比較検討を行った。さらに、病理組織学的解析として摘出標本において、病理組織学的評価とともにPRL受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体の発現を免疫組織化学によって評価した。この際に、子宮内膜癌の発生・進展に関与する遺伝子としてまずはPTENに焦点をしぼりその発現を評価した。 【研究実績】高PRL血症を有する症例では、臨床病理学的にI型の子宮内膜癌に類似した臨床像を呈したが若年発症の傾向が認められた。また、免疫組織学的検討では高PRL血症の有無によってPTENの発現に差異が認められ、分子生物学的に異なる発癌過程を有している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究内容として、1. 症例の収集、2. 臨床情報解析: 臨床情報を解析し、内分泌学的因子に焦点を絞り症例を比較検討する。3.病理組織学的解析: 免疫組織化学法を加えた病理組織学的検討を行う。1~3の情報を統合、解析し子宮内膜発癌機構における分子生物学的因子と内分泌学的因子の相互関係を明らかにする。4.1~3とは別に、内分泌学的異常の是正が症例の転帰に与える影響を検討する、を予定していた。1および2についてはほぼ完了し、現在、3および4に関しての研究を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は大きく臨床研究と基礎研究に分けて予定しており、臨床研究では1.症例収集: 子宮内膜癌症例の臨床情報を収集する。2.臨床情報解析: 臨床情報を解析し、内分泌学的因子に焦点を絞り症例を比較検討する。3.病理組織学的解析: 免疫組織化学法を加えた病理組織学的検討を行う。1~3の情報を統合、解析し子宮内膜発癌機構における分子生物学的因子と内分泌学的因子の相互関係を明らかにする。4.1~3とは別に、内分泌学的異常の是正が症例の転帰に与える影響を検討する。 以上の4行程による研究を予定しており、現状からも順調に進んでいると判断している。基礎研究では1.PRLを介した子宮内膜癌の発癌・進展機構のin vitroでの解析、2.子宮内膜癌モデルマウスを用いたin vivoの解析を予定しており、臨床研究と合わせて進めていく。
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Research Products
(2 results)