2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌および子宮頸部上皮内病変における細胞極性制御因子aPKCλ/ιの役割解明
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15K10725
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
丸山 康世 横浜市立大学, 医学研究科, 共同研究員 (10534141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 洋治 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10217995)
秋本 和憲 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 准教授 (70285104)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | aPKC C / 子宮頸癌 / 子宮頸部上皮内病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに正常上皮の細胞極性調整因子であるatypical protein kinase C (aPKC)の過剰発現と細胞内局在が子宮頸癌の前駆病変である子宮頸部上皮内病変(CIN)において増悪の独立な予測因子であることを明らかにし,aPKCが子宮頸部上皮の発がん・進展に関連している可能性を示した(Mizushima et al, Int J Gynecol Pathol. 2016 Mar;35(2):106-17).本研究では1)aPKCの子宮頸癌発生と進展に及ぼす影響とその機序の解明 2)CIN予後予測ツールとしてのaPKCの有用性の2点について検討することを目的としている. 1)について,子宮頸癌のaPKC発現様式と予後について検討した結果,aPKC核局在の症例では正常な細胞質局在症例に比して予後が不良であることが明らかになった. 平成28年度のさらなる解析の結果,aPKCの細胞内局在は同じ症例でもCINから浸潤癌に以降する過程で核から細胞質へ移動する場合があるが,浸潤癌の場合は原発巣と転移巣の細胞内局在は同一であり,aPKCが子宮頸癌の発癌,浸潤,転移の過程で異なる作用を有している可能性が示唆された.また,子宮頸癌細胞株Helaを用いたin vitroの研究ではaPKC核強制発現細胞はaPKC細胞質強制発現細胞に比して浸潤能が亢進していたことから,これら二つの細胞株のcDNAライブラリーを用いてマイクロアレイ解析を行い,aPKC核局在細胞に特異的に発現している遺伝子群を同定,確認の機能解析中である. 2)について,CINの症例を収集し,aPKC発現様式によってCINの進行を予測できるか否かの前向き研究を実施中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浸潤子宮頸癌におけるaPKC発現様式の解析はほぼ終了し,aPKCの異常な細胞内局在が子宮頸癌の予後に影響することを示すことができた.現在は核局在aPKCが子宮頸癌においていかなる機能を果たしているかに関しての研究へ移行し,解析を進めている.また,CIN予後予測ツールとしてのaPKCの有用性についての前向き研究は症例収集と予後解析に時間を要するものであるが,近隣の子宮がん検診施設との協力体制が樹立できたため順調に症例の収集がなされている.
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Strategy for Future Research Activity |
1)浸潤子宮頸癌におけるaPKCの機能解析に関しては,核局在型aPKC強制発現子宮頸癌細胞株を用いて,核局在細胞特異的な異常発現遺伝子をマイクロアレイ解析で同定したので,特に浸潤能を制御する遺伝子について機能解析を行う.また,平成28年度の研究でCINと浸潤癌におけるaPKC核局在は局在移行の機序や機能が異なる可能性があり,各々における核局在aPKCの遺伝子解析を行う. 2)CINの予後予測ツールとしてのaPKCの有用性についての検討に関しては,平成28年度に引き続き症例収集を行い,順次解析を開始する.
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