2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cochlear synaptopathy in hearing loss due to retrolabyrinthine pathology
Project/Area Number |
15K10741
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野口 直哉 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20333792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香取 幸夫 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20261620)
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難聴 / Hidden Hearing Loss / マスキング / 音響性聴覚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
蝸牛神経は、その反応特性の特徴から、(1)高頻度自発放電(High-SR)神経と(2)中・低自発放電神経(Low・Med-SR)神経の2つの異なった生理学的特徴をもった神経群に分類されるが、High-SR神経とLow-, Med-SR神経の間での易受傷性が異なること、すなわち、High-SR神経に比してLow-, Med-SR神経の易受傷性が報告されている。Hidden Hearing Loss(隠れ難聴)は、このLow- Medium - SR群神経の選択的障害に起因する病態である。閾値の低いHigh-SR群が残存しているため、閾値は正常であるが、閾値は高いがダイナミックレンジが広く、音圧上昇に伴う蝸牛神経の興奮総和の増加やマスキング下での反応性に寄与するLow- Medium-SR群の神経脱落の為に、高レベル音に対するABR(聴性脳幹反能)波形の振幅低下やマスキング下の聴き取りなど閾値上の聴覚機能に障害が出現する。これまで、音響性聴覚障害、老人性難聴において、このHidden hearing lossのメカニズムの関与が報告されてきたが、本年度は、突発性難聴や急性音響性聴覚障害などの急性感音難聴回復症例を対象に、1)マスキング下の語音明瞭度、2)ABR(聴性脳幹反応検査)、3)ラウドネスの左右差を評価し、閾値が回復してもHidden hearing lossメカニズムに起因する閾値上の聴覚機能の不全が存在しえる所見を確認することができた。すなわち、従来報告されてきた、音響性聴性聴覚障害、加齢性難聴のみならず、それ以外のさまざまな難聴病理においても、本メカニズムが関与しえることを初めて示すことができた。
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