2016 Fiscal Year Research-status Report
安全、確実な側頭骨手術のための高精度3D側頭骨モデルの開発
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15K10745
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 邦行 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40452057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 新 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30294060)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 側頭骨 / 3Dモデル / 手術シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
側頭骨手術は骨削開が中心で、硬組織の中に顔面神経、半規管などの重要な構造物が含まれている点で、一般的な耳鼻咽喉科手術に比べ習得が難しい。これまで側頭骨手術手技の習得には、熟練者の指導のもと患者を対象に実際の手術で習得するか、遺体を用いた擬似手術により習得することが通常であった。近年、3Dデータ作成ソフト、3Dプリンターの普及により、高精細な3Dモデルの作成が可能となり、手術手技習得のモデルが作成されるようになった。本研究では側頭骨手術研修に十分利用できる、安価かつ精密であり、簡単に作成できる側頭骨3Dモデルを作成し、それを検証することを目的としている。 昨年度までの研究により、石膏粉末を原料としたモデルを作成することを行った。われわれが行っている3Dプリント法は石膏粉末積層法であり、いくつかの問題点があった。1つは側頭骨内部の含気化されるべき空間にも石膏粉末が詰まってしまうことであり、これを解決するためにドレナージホールを設計段階から作成した。ドレナージホールからのエアブローにより内部の石膏粉末をある程度除去することが可能になったが、エアブローにより耳小骨など小さな構造物が吹き飛んでしまうという2つ目の問題点が生じた。それを解決するためにもともとは骨組織ではない耳小骨を吊っておくべき靭帯を骨濃度に変化させ安定することができた。最後に顔面神経や半規管、蝸牛などの側頭骨の内部に存在する軟部組織の再現のために、これらの内部構造を色を持ったデータとし、骨削開を丁寧に進めるとそれぞれカラー化された構造として認識できるようなモデルとした。これらの工夫により、簡単にある程度精密な構造まで再現できる側頭骨3Dモデルが完成した。 現在さまざまな経験を持つ術者に実際に削開してもらうこと、モデル自体をCT撮影することにより、内部の構造の再現性を検証しており、これを発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、精密で簡単に作成できる3Dモデルの作成ができており、現在検証作業がほぼ終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後作成された側頭骨3Dモデルの検証作業により得られたデータをもとに論文執筆を行う予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品、学会参加費の金額により、次年度繰越額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表、論文執筆に使用する予定である。
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