2016 Fiscal Year Research-status Report
音響外傷性難聴に対するプログラムされたネクローシスによる細胞死制御機構
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15K10750
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 大介 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (60306785)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内耳 / 細胞死 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
音響外傷性難聴における内耳細胞死のカニズムを詳細に解明し、その結果に基づき治療へのアプローチを多角的に検討することを目的である。近年、音響外傷性難聴におけるアポトーシスに関する報告が主に国外を中心にみられるようになった。我々は、音響曝露後の遅発性メカニズムに着目し、経時的な変化を詳細に調べ報告してきており、この視点は国内外含めて我々のみである。他領域ではカスパーゼ非依存的な経路が着目され、我々も内耳性難聴では初めてこの経路に関して報告した。また音響外傷による障害には一過性閾値変化(TTS)と永続的閾値変化(PTS)の両モデルがあり、この両者を比較することで難聴へのメカニズムを解明する手がかりになると思われる。我々は、両モデルとアポトーシスに重要な因子の1つであるBcl-2ファミリーの関与を報告した。最近になりプログラムされた細胞死には、実はアポトーシス以外にネクローシスも関与することが報告された。そこで我々のこれまでの研究成果に加え、両モデルにおいて新しい概念であるプログラムされたネクローシスの発現を調べることは、より詳細な細胞死に至るメカニズムの解明につながり、難治性の感音難聴を完全に治療することにつながることが予想され、独創的かつ発展的であり大変意義深いと考える。また当研究室では、強大音響負荷装置、聴覚の機能解析に必要な聴性脳幹反応(ABR)測定装置、内耳の形態観察に必要な実体顕微鏡・蛍光顕微鏡等の機器が既に設置され、研究を行っている。また共焦点顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの高額機器は神戸大学医学部共同実験施設のものを利用可能である。これらの機器の操作方法や内耳標本作製手技はすでに確立されており、研究を推進するにあたって問題ない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、正常モルモットにおける内耳リンパ液の特異的物質が同定し、報告に至った。次年度は、この結果に基づき、障害モデルでの、内耳リンパ液の組成変化を調べ、メカニズムの解明につなげる予定である。以上からおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回モルモットの内耳リンパ液の質量分析を行うことにより、内耳特異的代謝物を同定し得た。次年度は障害もデルでのリンパ液の代謝物組成の変化を調べることにより、内耳障害のさらなるメカニズムの解明および治療薬への開発につなげたいと考えている。 またプログラムされた細胞死とネクローシスの関連にも結び付けることにしたいと考えている。
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