2017 Fiscal Year Research-status Report
新しいRNA干渉法を用いた内耳感覚上皮の発現遺伝子の検討
Project/Area Number |
15K10753
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
菅原 一真 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20346555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 裕司 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00210419)
原 浩貴 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90274167) [Withdrawn]
廣瀬 敬信 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80555714)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内耳有毛細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
内耳感覚細胞が障害される際,細胞内シグナル伝達に関わる分子群の活性化が誘導され,その後に感覚細胞が死滅する。哺乳動物の感覚細胞はひとたび障害されると再生されることはなく,現在の難聴治療上の障壁となっている。申請者は,これまで内耳感覚細胞死のメカニズムを明らかにするべく基礎的研究を行ってきた。本研究ではこれらの感覚細胞死を抑制する方法として,HSP70に代表される熱ショック蛋白質や細胞死の細胞内シグナル伝達に関わるKinaseに注目している。熱ショック蛋白質はKinaseをはじめとする細胞死のシグナルの各段階において細胞死を抑制する作用がある。本研究ではRNA干渉という新しい手法を用いて内耳感覚細胞死のメカニズムを明らかにすることを目的とした。実験材料としては培養卵形嚢を使用した。卵形嚢を培養するためには,顕微鏡下、清潔操作にてマウス側頭骨より卵形嚢を挫滅させずに摘出することが必要である。この方法は過去に報告した実験方法に準じて行った。さらに培養卵形嚢における有毛細胞障害を評価する方法として,抗カルモデュリン交代,抗カルビンディン抗体を用いた免疫組織科学を行った。本年度は細胞に熱ショック応答を誘導できる薬剤を摘出前の動物に投与する方法を用いて内耳感覚細胞に熱ショック応答を誘導する試みを行った。結果は良好で内耳感覚細胞の保護に熱ショック応答が有用であるとする本研究の目的を達成しつつあると判断している。ただし,追加実験を行った関係から学会での報告を次年度に持ち越して行う予定とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては細胞内にRNAを導入する培養実験を行い,細胞の機能を変化させるための至適条件を求めるための実験を行っていたが,充分な効果は得られなかった。昨年度よりこれに加えて薬剤を用いて内耳感覚細胞に熱ショック応答を誘導する実験を行っていたが,卵形嚢を摘出する前の動物に薬剤を投与する方法で,内耳感覚細胞に熱ショック応答を誘導することに成功した。さらに,その動物から摘出して培養した卵形嚢で内耳保護作用を示すことができたため,本研究の目的を達成できたと判断した。ただし,追加実験を行った関係でそれに伴う学会発表も延期することにしたため,補助事業期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った追加実験の結果を,国内外の学会にて報告する予定である。
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Causes of Carryover |
実験の目的を達成するべく,薬剤を用いて内耳感覚細胞に熱ショック応答を誘導する実験を行っていたが,卵形嚢を摘出する前の動物に薬剤を投与する方法で,内耳感覚細胞に熱ショック応答を誘導することに成功した。さらに,その動物から摘出して培養した卵形嚢で内耳保護作用を示すことができたため,本研究の目的を達成できている。ただし,追加実験を行った関係でそれに伴う学会発表も延期することにしたため,補助事業期間延長を申請した。
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