2015 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる老人性難聴発症機序の解明と抗酸化剤のカクテル治療の研究
Project/Area Number |
15K10755
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉田 正 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50423455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白馬 伸洋 帝京大学, 医学部, 教授 (70304623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 老人性難聴 / 抗酸化剤 / DBA/2Jマウス / 酸化ストレス / フリーラジカル / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者にとって難聴はコミュニケーション能力、quality of lifeを低下させ、社会全体に人的及び経済的損失を与える。老人性難聴の発症機序は複雑でまだ解明されておらず、確立された治療法、予防法は少ないのが現状である。近年、老人性難聴の主な発症原因の一つとして酸化ストレスの関与が考えられている。本研究では、老人性難聴モデルのDBA/2J系統マウスに抗酸化剤を組み合わせた複合サプリメント(ビタミンACE&Mg)を投与し、進行性難聴に対して聴覚機能評価(ABR)及び組織学的に保護効果を示すか検討した。 聴覚機能評価(ABR)で3.5、7、28、32kHzの4周波数においては、対照群、複合サプリメント群の両群とも週齢間において有意なABR閾値変化を認めなかった。組織学的評価の有毛細胞脱落割合は対照群、複合サプリント群の両群とも内有毛細胞の脱落は頂回転から約3mmから始まり、基底回転ではほぼ完全に脱落を認め、外有毛細胞においても主な脱落は頂回転から約2.75mmから起こり、基底回転では完全に脱落を認めた。対照群、複合サプリント群の両群において内・外有毛細胞の脱落率に有意差を認めなかった。 このことにより、ビタミンACE&MgサプリメントはDBA/2Jマウスの進行性難聴に対して聴覚機能及び組織学的に保護効果を認めないことが確認された。 ビタミンACE&Mgサプリメントが進行性難聴に対して有用でなかった理由として、DBA/2Jマウスのような早期に進行する障害の強い難聴は、酸化ストレスに伴うフリーラジカルが関与する機序よりもDBA/2J系雌マウス自体の感覚細胞のプログラム死が主な原因であると考えられる。 今後は他の種類の加齢性難聴モデルマウスを用いてビタミンACE&Mgの蝸牛保護効果に関して検討する必要がある。
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