2015 Fiscal Year Research-status Report
新規アディポサイトカイン「オメンチン」の加齢性難聴における役割
Project/Area Number |
15K10769
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
谷川 徹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (10367758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 乗有 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00595514)
柴田 玲 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70343689)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アディポカイン / オメンチン / 加齢性難聴 / 肥満 / 脂肪組織由来ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
1)アディポカインと加齢性難聴の関連について検討 アディポカイン(脂肪組織由来ホルモン)の発現を増強させるといわれている大豆タンパク・ベータコングリシニンの積極的な摂取により、加齢性難聴の進行抑制が可能かどうか検討した。6ヶ月間の積極的なベータコングリシニン摂取により、マウス加齢性難聴(12ヶ月齢)の進行は抑制された。大豆たんぱく食(コングリシニン食)摂取に基づく体重増加の抑制や、活性酸素産生予防、血管内皮機能改善作用が難聴抑制をもたらしていると考えられた。
2)加齢マウス(野生型、15ヶ月齢)における検討 老化野生型マウス(15ヶ月)では聴力閾値が65から85 dBと高度の難聴を来していた。6ヶ月齢での蝸牛血流は良く保たれていたが、15ヶ月齢では6ヶ月齢に比べて約30%、蝸牛血流が低下していた。電子顕微鏡を含む組織学的観察では、有毛細胞の脱落、消失が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではオメンチンなどのアディポカインが加齢性難聴に及ぼす役割を検討することを目的としている。コントロール群のマウスでABR、血流測定、組織学的検討を終了した。また、善玉アディポカインの血中濃度を上昇させる大豆タンパクの積極的な摂取により、加齢性難聴の進行を抑制可能なことを報告できたことから、おおむね順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
オメンチン過剰発現マウスにおける難聴予防効果メカニズムの解明: マウス個体レベルでの難聴予防効果メカニズムについて、オメンチン過剰発現マウスを用い経時的に検討する。 1)オメンチン過剰発現マウスおよび野生型(WT)マウス聴覚閾値(ABR)の検討: 6、9、12、15カ月齢における聴覚閾値を測定する。 2)蝸牛血流の測定:内耳血流に対するオメンチンの効果を検討する。6および15か月齢での蝸牛血流について、レーザー血流装置(オメガフロー FLO-N1)を用いて測定する。 3)組織学的評価:6および15カ月齢で蝸牛を摘出し、hematoxylin-eosin染色を行い、各回転のラセン神経節の状態を細胞密度で評価する。有毛細胞のsurvival rateの評価にはsurface preparation 及び走査型電子顕微鏡による観察を行う。また、血管条のcapillary densityを、CD31染色で、加齢に伴う酸化ストレスの状態を4-HNE、8-OHdG、iNOSの免疫染色で検討する。炎症性サイトカイン(TNF-alfa、IL-6)の関与や、カスパーゼ3、AMPキナーゼ(AMPK)発現の差はウエスタンブロット法で検討する。
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Causes of Carryover |
効率的に予算を執行できたことで、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらは、新規アディポサイトカイン「オメンチン」の加齢性難聴における役割 の完遂のために使用する予定である。
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