2016 Fiscal Year Research-status Report
新規アディポサイトカイン「オメンチン」の加齢性難聴における役割
Project/Area Number |
15K10769
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
谷川 徹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (10367758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 乗有 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (00595514)
柴田 玲 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70343689)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アディポカイン / オメンチン / 加齢性難聴 / 肥満 / 脂肪組織由来ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
1)オメンチン過剰発現マウスにおける体重:オメンチン過剰発現マウスは野生型マウスに比べて体重が軽くなっていた。アディポサイトカインの1つであるオメンチンが、抗肥満作用を発揮した可能性が考えられた。
2)オメンチン過剰発現マウスにおける聴覚閾値:オメンチン過剰発現マウスの聴覚閾値を ABRを使用して 8, 16, 32 kHZで測定したところ、それぞれの周波数で難聴の進行が抑制される傾向が見られた。難聴進行の抑制メカニズム解明のために、蝸牛における血流をレーザー血流装置(オメガフロー FLO-N1)で測定した。オメンチン過剰発現マウスの蝸牛血流は比較的良好に保たれていた。
3)オメンチン過剰発現マウスにおける蝸牛の組織学的検討:現在 H-E染色で、らせん神経節における単位面積あたりの神経細胞数をカウント中である。さらに、血管条のcapillary densityを、CD31染色で、加齢に伴う酸化ストレスの状態を4-HNE抗体を使用した免疫染色で検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では新規アディポサイトカインであるオメンチンが加齢性難聴に及ぼす役割を個体レベル、細胞レベルで解明し、その臨床的意義を明らかにすることを目標にしている。現在までに、オメンチンTG群のマウスでもABR、血流測定を実施できた。したがって本研究は、おおむね順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)血管内皮細胞に対するオメンチンの作用とシグナル伝達機構の解明 HUVEC細胞におけるAkt-eNOS経路の活性の有無を検討する。血管老化にはアンギオテンシン(ATⅡ)が重要な役割をはたしているので、オメンチンの持つATⅡ負荷による細胞障害の抑制作用についても検討する。 2)ヒトにおけるオメンチン濃度と難聴発症との関連について 健康診断受診者を対象に、血中オメンチン濃度が難聴発症とどのような関連を有しているか検討を行う。
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Causes of Carryover |
効率的に予算を執行できたことで、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらは、[新規アディポサイトカイン「オメンチン」の加齢性難聴における役割]の完遂のために使用する予定である。
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