2015 Fiscal Year Research-status Report
鼻副鼻腔内反性乳頭腫の診断・再発・悪性化マーカーの探索
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15K10785
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
長谷川 昌宏 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (10347156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真栄田 裕行 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264501)
山下 懐 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60569622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内反性乳頭腫 / 扁平上皮癌 / 癌化 / セルサイクルプロテイン / ヒト乳頭腫ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1:扁平上皮癌抗原(SCCA)による内反性乳頭腫の診断:30例の内反性乳頭腫と57例の炎症性疾患についてレトロスペクティブにSCCA値を調べた。この結果,内反性乳頭腫では83.3%の症例でSCCA値が上昇していたのに対し,炎症性疾患では5.3%でしか上昇していなかった。SCCAを用いた内反性乳頭腫の診断は感度83.3%,特異度94.7%と極めて良好であった。術後のフォローアップでは皮膚病変との関連は認められなかったが,喫煙者では高く出るため,非喫煙者と喫煙者の間で異なる値を設定することでより正診率を高めることができることが判明した。この結果は国際誌に発表した。 研究2:HPV integrationと悪性化:内反性乳頭腫17例,内反性乳頭腫+扁平上皮癌5例,扁平上皮癌16例,慢性副鼻腔炎32例を用いて,pRb, p53, p16, HPV感染状態を調査した。HPV DNAはそれぞれ29.4%,40%,25%,6.3%で検出され,主たるHPV型は16であった(76.9%)。ウイルス量は扁平上皮癌,内反性乳頭腫+扁平上皮癌例では,内反性乳頭腫単独,炎症性疾患よりも高値を示した。内反性乳頭腫ではp16発現がHPV感染と関係なく亢進しており,HPV感染のサロゲートマーカーにはならないことが判明した。セルサイクル蛋白のなかで,pRbの発現低下がHPV感染と有意に関連していることが判明した。本結果は国際誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度で目標の2/3程度の研究成果が得られた。27年度は研究で使用する純水製造装置が壊れ,修理不能であったため新規購入した。
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Strategy for Future Research Activity |
扁平上皮癌抗原が内反性乳頭腫診断に極めて有用であることが判明したため,前向き臨床試験で確認する予定である。平成28年度は臨床試験の準備を行う。前年度の研究でp16がHPV感染と無関係に内反性乳頭腫で著明亢進していることが明らかになった。本メカニズムは,内反性乳頭腫の発生や癌化に密接に関連していると思われるため,引き続きそのメカニズムを解明してゆく。
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Causes of Carryover |
少額の残がでたため,次年度の研究費を合わせ使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費に充当する。
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