2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性副鼻腔炎のEndotypeに基づく難治化因子のエピジェネティクス機構の解明
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15K10792
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
吉川 衛 東邦大学, 医学部, 教授 (50277092)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性副鼻腔炎 / マイクロアレイ / phenotype / endotype |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis: CRS)においては,これまで欧米に多いとされてきた,好酸球優位な炎症性細胞浸潤を特徴とする難治性のフェノタイプが増加しており,好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic CRS: ECRS)と呼ばれている(厚生労働省 指定難病 306).術後再発率が高く,予後不良な病態とされているが,その詳細な機序は解明されていない。ステロイドの投与により病態は改善するが,投与の中止により再燃するため完治はしない. まず,マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を基盤とした手法を用いて,ECRSおよび非好酸球性副鼻腔炎(non-ECRS: NECRS)患者から採取した組織中の遺伝子発現解析を実施した.その結果,ECRSにおいてはNECRSや正常粘膜組織とは異なる,特徴的な遺伝子発現プロファイルが存在することを同定した.さらに,ECRSにおける遺伝子発現を制御する上流因子を特定するため,パスウェイ解析も行った(Int Forum Allergy Rhinol.2018;8:592-604.). 一方で,CRS患者の臨床情報データベースを作成し,術後の予後についても評価した.このようなphenotypeをもとに,どのような subgroupが予後不良なのかについて解析を行った.さらに,それらのsubgroupにおける特異的な遺伝子発現を解析するため,subgroupごとの鼻粘膜組織から抽出したtotal RNAをもちいてマイクロアレイで網羅的遺伝子発現解析を行った.その解析によって得られたCRSのendotypeに基づいて,現在は治療抵抗性に関連する予後不良因子について検討を行っている.その中でも,既存のECRSの概念とは異なるendotypeに特に注目している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,CRSのendotypeのうち,IFN誘導性遺伝子群の発現が増強している鼻組織より線維芽細胞や上皮細胞を培養し,培養細胞におけるIFN誘導性遺伝子群の発現の機序を中心に解析する予定であった.しかし,その解析の過程で治療抵抗性への関与が示唆される興味深い分子の存在が判明し,一時的にその分子を優先して検討を行っていた.そのため研究計画が一部変更となり,進捗がやや遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗はやや遅れたものの,必要とするデータも今年度までにほぼ整ったため,平成30年度には論文投稿を多数予定している.そのため,国内および国際学会での研究成果の発表や,英文学術雑誌への投稿を重点的に行う予定である.
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Causes of Carryover |
(理由) 当初の研究計画における解析の過程で,治療抵抗性への関与が示唆される新規の分子の存在が判明し,研究の遂行がやや遅れている.そのため,平成29年度に予定していた国際学会での発表や英文学術雑誌への論文投稿が遅れ,旅費,英文校正,投稿などに使用する支出分が次年度に繰り越された. (使用計画) 必要とするデータもほぼ整い,平成30年度には論文投稿を多数予定している.そのため,国内および国際学会での研究成果の発表や,英文学術雑誌への投稿に経費が必要となる.本研究課題の最終年度となる平成30年度は,主に研究成果の発表に対して繰り越し分を充当する予定である.
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[Journal Article] Distinct gene expression profiles and regulation networks of nasal polyps in eosinophilic and non-eosinophilic chronic rhinosinusitis.2018
Author(s)
Okada N, Nakayama T, Asaka D, Inoue N, Tsurumoto T, Takaishi S, Otori N, Kojima H, Matsuda A, Oboki K, Saito H, Matsumoto K, Yoshikawa M.
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Journal Title
Int Forum Allergy Rhinol.
Volume: 8
Pages: 592-604
DOI
Peer Reviewed
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