2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10805
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
成田 憲彦 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80345678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高林 哲司 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (70397272)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SESN1 / シスプラチン / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は頭頸部癌におけるシスプラチン耐性機構を解析するために、頭頸部癌(上顎癌)細胞株IMC3からシスプラチン高度耐性株IMC3CRを樹立した。PCR arrayの結果から、IMC3CRにシスプラチンを添加した際に、Sestrin 1(SESN1)の発現が2倍以上に増加する事を見出した。SESN1はミトコンドリアからのROS産生を抑制することが報告されている。ROSはシスプラチンを含む様々な抗腫瘍薬、放射線、また温熱刺激などで産生され、チトクロームc、カスパーゼを介したアポトーシスを誘導する。このことからSESN1が頭頸部癌の抗腫瘍薬耐性および放射線耐性に共通して関与する可能性があると考えた。 IMC3CRにシスプラチンを添加し、6時間後にReal-time PCRを行うとIMC3(野生株)に比べ、SESN1の発現が約30倍増加することが解った。またウェスタンブロット法でもシスプラチン刺激3~6時間でSESN1が著明に誘導されることを確認した。SESN1の機能解析のためRNAiによりSESN1を抑制し、MTT assayを行った。その結果、SESN1を抑制することで、シスプラチン処理後48時間のIMC3CRの細胞生存率は約60%著明に減少することが解った。コロニー法で長期細胞生存率を解析すると、SESN1抑制によってシスプラチン投与後の細胞生存率はさらに低下し、シスプラチン耐性が大幅に減弱されることが判明した。フローサイトメトリー、ROS測定によりSESN1抑制による細胞生存率低下がROS誘導型アポトーシスの増加によることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りにデータが蓄積されている状況である。解析が終了した部分から現在論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ROSを介する細胞死は放射線並びに温熱刺激でも誘導される。初期データではあるが、シスプラチン耐性株IMC3CRは温熱耐性をもある程度獲得している事が解った。SESN1を抑制することで温熱刺激後の耐性が減弱するかをMTT assayやclonogenic cell survival assayで解析する。SESN1抑制による頭頸部の癌温熱耐性克服の可能性についても研究を発展させる予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたPCR array、MTT assay、ウェスタンブロット、ROS assayなどの諸実験が順調に進み、論文作成に必要なデータを得ることができた。このため主に消耗品購入のために予想していた経費が実際には安価に押さえることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画を発展させ、SESN1抑制がROSを介した温熱誘導型アポトーシスを増加させるのかを解析する。この解析により、SESN1をターゲットとした頭頸部癌温熱増感治療の可能性が明らかになると考える。
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Research Products
(2 results)