2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10819
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
野本 幸男 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70508811)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気管再生 / 気管軟骨 / 軟骨細胞 / 軟骨膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨細胞・軟骨膜細胞の採取、培養を中心に研究を行った。 〔肋軟骨の採取〕日本白色系ウサギの肋軟骨を全身麻酔下に採取した。下位肋軟骨周囲の除毛を行い、局所麻酔を追加し、採取すべき肋軟骨に沿って皮膚および筋層を切開し肋軟骨を露出させた。付着する筋を全周性に剥離し、特に内側では気胸を作らないよう慎重に剥離を行い、肋軟骨を切除し閉創した。この方法で培養に必要な肋軟骨を得ることができた。 〔酵素処理による細胞の獲得〕軟骨組織と軟骨膜組織を分離したのち、それぞれをover nightで2型コラゲナーゼ処理を行い細胞浮遊液を濾過して、細胞を採取した。10%FBS含有D-MEM を培地として培養を行ったところ、いずれにおいても付着系細胞が得られ、同培養液で増殖することも確認された。 〔組織片培養による細胞の獲得〕採取した肋軟骨について軟骨組織と軟骨膜組織を分離し、それぞれを小さな組織片に切断し、培養皿に接着させたのち10%FBS含有D-MEM を培地として組織片培 養を行ったところ、培養開始から10日程度で組織片周囲に付着系細胞の増殖が確認できた。この方法における問題点としては培地交換の際に組織片が培養皿より剥離することがあり、細胞が培養皿に移動する前に剥離した組織片からは細胞が得られないことが挙げられた。 〔軟骨組織と軟骨膜組織の分離〕実体顕微鏡下に採取した肋軟骨の断端において表面の結合組織を微細鑷子で把持し牽引すると、容易に肋軟骨周囲の結合組織の層と、肋軟骨中央寄りの軟骨組織の層が離断される。前者を軟骨膜組織、後者を軟骨組織とした。組織標本で確認すると、必ずしも軟骨基質の外側縁で剥離されているわけではなく、軟骨基質を有する層の一部が軟骨膜側に残るように剥離されている像が確認された。この結果より、軟骨膜細胞として分離、培養された細胞には軟骨膜に近い部分の軟骨細胞も含まれていることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
軟骨細胞および軟骨細胞の採取、培養に関しては細胞移植に必要な細胞が獲得できる段階であり、概ね良好と考えられる。ウサギを用いた細胞移植を伴う気管再建に関しては、気管再建後の評価前に死亡するなど理由によりに十分な評価に至っていない。人工材料と気管との縫合において、現状では8箇所で縫合しair tightな状態を図っているが、再建部分での狭窄が認められる場合が散見され、縫合方法を含めた再建手技のさらなる工夫が必要と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
〔培養気管の調整〕I型コラーゲン溶液に再構成用緩衝液、D-MEM及び培養で得られた軟骨細胞もしくは軟骨膜細 胞で細胞懸濁液を作製する。軟骨細胞、軟骨膜細胞の濃度、懸濁液の人工気管への浸透 方法などを変えて、気管軟骨の再生に効果的な手技の確立を図る。 〔気管再建・標本作製・評価〕摘出した気管の凍結切片及びパラフィン切片、TEM 用の標本を作製する。 H-E 染色やトルイジンブルー染色等での形態観察を行う。蛍光顕微鏡にて蛍光標識した細胞を 経時的に評価する。免疫染色(type II collagen 等)、TEM にて軟骨組織の構造、再生気管の 層構造を評価する。
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Causes of Carryover |
ウサギを用いた気管再建実験が十分な匹数に達しなかったこと、国際学会への参加経費を計上していたが参加を見送ったことなどの理由により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降ウサギを用いた気管再建実験を推進すると共に、研究支援体制の変化により気管再建用人工材料の製作に関わる費用が新たに必要になる可能性が生じており、消耗品費等の上乗せを想定している。国際学会参加を予定しており、外国旅費としての使用を予定している。
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