2015 Fiscal Year Research-status Report
気道防御機構としての下咽頭・喉頭の機能解剖学的研究
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15K10821
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
板東 秀樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50433272)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋小胞体カルシウムATPase / 下咽頭収縮筋 / 内喉頭筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット下咽頭収縮筋および内喉頭筋における筋小胞体Ca2+ATPase(SERCA)の発現を免疫組織化学法を用いて検証した。 まず下咽頭収縮筋では甲状咽頭筋と輪状咽頭筋それぞれにおけるSERCA1とSERCA2の発現分布を調べると同時にMyosin Heavy Chain1, 2との共発現を調べることによりその詳細な分布を検討した。輪状咽頭筋に相当するSemicircular muscleにおけるSERCA2の発現は甲状咽頭筋と比較してとくに管腔側で高い発現を呈していたが、これらの筋線維の多くはⅡ型筋線維であった。ヒトにおいては輪状咽頭筋の管腔側はⅠ型筋線維が優位であると報告されており、今回の結果はラットに特徴的な所見であると考えられた。現在ヒトの下咽頭収縮筋における発現を検討している。 内喉頭筋においては甲状披裂筋、外側輪状披裂筋、後輪状披裂筋、輪状甲状筋それぞれにおけるSERCAとMyosin Heavy Chainの発現を同様に調べた。甲状披裂筋においてはすべてがⅡ型筋線維で全体にSERCA1陽性線維が大半であったが、内側では一部の線維にSERCA2の発現を認めた。これらはSERCA1, SERCA2を共発現するHybrid線維であった。外側輪状披裂筋、後輪状披裂筋ではSERCA2の比率が比較的高い結果であった。しかしいずれの筋においてもSERCA1, SERCA2共陽性の線維が一定の比率を占めることが他の骨格筋との違いとしてあげられた。一方で輪状甲状筋においてはこうしたHybrid線維は少数であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の27年度の目標であった正常個体における発現分布について結果をまとめることが出来たことで、28年度以降に予定していた神経切断や加齢モデルの研究などにつなげることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在24ヶ月の高齢ラットにおけるSERCA発現を下咽頭収縮筋、内喉頭筋ともに検討しており、結果を解析している。また迷走神経切断後のSERCA発現の変化を検討し、神経再支配後に回復するかどうかなども含めて検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
薬品購入の際に残金が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に消耗品などに使用する予定である
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