2016 Fiscal Year Research-status Report
気道防御機構としての下咽頭・喉頭の機能解剖学的研究
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15K10821
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
板東 秀樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50433272)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内喉頭筋 / 筋小胞体カルシウムATPase / 下咽頭収縮筋 / ブラジキニン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
内喉頭筋における筋小胞体カルシウムATPaseの発現:免疫組織化学法にてそれぞれの内喉頭筋における筋小胞体カルシウムATPase, SERCA1およびSERCA2の発現の分布をもとめ、発現比率を比較した。その結果、声門閉鎖筋である甲状披裂筋、外側輪状披裂筋においてはいずれもSERCA1優位であったが、甲状披裂筋がよりSERCA1優位であることが示された。後輪状披裂筋ではSERCA2陽性筋線維が約30%に認められたが、その過半数はSERCA1を共発現するhybrid型の線維であった。またこれらSERCA2陽性筋線維の多くはMyosin heavy chain type2を発現しており、速筋であることが示された。輪状甲状筋は同様にSERCA2陽性線維が25%程度を占めたが、hybrid型の線維は少数であった。加齢に伴う筋組成の変化を検証したところ、後輪状披裂筋ではⅠ型筋線維の比率の低下とSERCA2陽性筋線維の比率上昇を認めた。喉頭筋におけるSERCAはhybrid線維など骨格筋と異なる特徴を示し、 声帯運動の微調整に寄与していると考えた。
下咽頭収縮筋における筋小胞体カルシウムATPaseの発現:同様に免疫組織化学法にて甲状咽頭筋と輪状咽頭筋(semicircular muscle)におけるSERCA1, SERCA2の発現を調べた。いずれもSERCA1陽性筋線維が多くを占めたが、内腔に近い筋線維ではSERCA2陽性筋線維が認められ、特にsemicircular muscleでは比率が高いことが判明した。semicircular muscleのUESとしての機能に寄与していることが示唆された。
喉頭神経系におけるブラジキニン受容体の発現:延髄弧束核、迷走神経節状神経節におけるブラジキニン受容体B1, B2の発現の免疫組織化学法による検討を行っている。現在結果を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内喉頭筋、下咽頭収縮筋におけるSERCA発現について形態学的な発現調査は終了し、論文投稿の準備中である。
喉頭上皮、神経系におけるブラジキニン受容体の発現については神経系における発現は現在結果を解析中であり、まだ論文投稿できる段階には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在内喉頭筋のSERCA発現に関する研究結果は、2017年5月17に日本耳鼻咽喉科学会で報告予定である。 また現在英文誌に論文を投稿準備中である。acceptされた後に下咽頭収縮筋におけるSERCA発現に関する論文の投稿を予定している。ブラジキニン受容体に関する研究結果は現在解析中であり、その後に論文投稿を準備する。
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Causes of Carryover |
年度末に他の臨床研究に従事する必要があり、残金の使用を行わず、次年度に持ち越す計画とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
薬品など消耗品の購入費に充てる予定である。
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