2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10828
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 教授 (40203583)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪組織由来間葉系前駆細胞 / 声帯内自家脂肪注入術 / Celution®遠心分離機 / 肝細胞増殖因子 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】声帯内自家脂肪注入術は、一側声帯麻痺に対して安全に行える治療であるものの、脂肪の壊死・吸収により注入容量の減少を来すことがしばしば問題となる。血管新生や細胞を増殖させる目的で肝細胞増殖因子(HGF)、線維芽細胞増殖因子(bFGF)などの細胞増殖因子添加が試みられ、脂肪生着に有効であったとの報告が散見される。そこで、多岐にわたる細胞増殖因子放出能を持ちながら虚血環境に比較的強く、自ら成熟脂肪細胞や血管内皮細胞に分化し得る脂肪組織由来間葉系前駆細胞(Adipose Derived Regenerative Cells : ADRCs)に注目した。本研究は、ADRScの添加が脂肪生着に与える影響について明らかにすることを目的とした。 【方法】2頭のビーグル犬の皮下脂肪組織を採取した。1匹目は脂肪吸引法で、2匹目は皮膚切開し、頸部脂肪を明視下に採取した。Celution®遠心分離機を用いてADRCsを抽出した。右声帯に自家脂肪+乳酸リンゲル液、左声帯に自家脂肪+ADRCsを注入し、1年後の摘出喉頭で病理組織学的検討を行った。また、ADRCsの中からFACSで脂肪幹細胞と思われる細胞を同定し、サイトカインに関する遺伝子発現や多分化能の確認を行った。 【結果】脂肪を明視下に採取した成犬のADRCs添加群において声帯に注入した脂肪組織がより多くの面積で残存していた。脂肪組織内の血管内皮細胞数はADRCs添加群で多い傾向がみられたが、線維化に両群で有意差はみられなかった。ADRScのHGF産生能がqPCRで確認された。分化誘導で多分化能は確認されなかった。 【考察】脂肪組織を明視下に採取した成犬では、HGFなどの血管増殖因子産生が脂肪生着に有利に働いた可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
成犬の病理組織標本の作成過程において、実験に用いた成犬の輪状軟骨化骨が経験のないレベルで高度であったため、薄切病理切片標本の作成自体が困難であった。組織染色後の評価自体が困難な病理切片標本が多く、評価自体に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
パラフィン包埋済みの病理標本を溶かし、輪状軟骨を切除した状態で病理標本の作製が可能かどうか、行う予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会での発表が次年度にずれ込んだため、次年度は国際学会の旅費及び学会参加費に支出予定である。
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Research Products
(1 results)