2017 Fiscal Year Research-status Report
原発性および続発性眼内リンパ腫におけるリンパ腫細胞の眼内浸潤機構の解析
Project/Area Number |
15K10834
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 洋如 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80750786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 博 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (20451940)
鴨居 功樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40451942)
島田 典明 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, その他 (40547460) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 眼内リンパ腫 / ぶどう膜炎 / PCR法 / 前房水 / 硝子体液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、眼内リンパ腫細胞の眼内への遊走・集積メカニズムを明らかにすることを目的とし、眼内リンパ腫患者眼局所検体から得られる腫瘍細胞および硝子体液を解析、検討するものである。今年度は眼内リンパ腫疑い患者の眼検体を収集して解析し、病理細胞診断、セルブロック法による病理組織診断、フローサイトメトリー、PCRによる免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成の検出、サイトカイン解析によるインターロイキン (IL)-10の検出およびIL-10/IL-6比の上昇の検索を行い、病理学的・分子生物学的に眼内リンパ腫の診断に至った検体の収集が進んだ。眼内リンパ腫患者眼局所より樹立した腫瘍B細胞株の細胞表面における、各種ケモカイン受容体、接着分子の発現についてフローサイトメトリーを用いて検索する予定である。検索対象の候補分子としては、Chanら(Chan CC, et al. Ophthalmology. 2003;110:421-6)が3例の剖検眼で検出したCXCR4, CXCR5を含め、ケモカイン受容体および接着分子を合わせ約30種を予定している。また、検出されたケモカイン受容体については、B細胞株からメッセンジャーRNAを抽出し、Real-time PCRを用いて遺伝子発現を確認する。眼内リンパ腫患者から採取した硝子体液の上清成分に対して、抗体アレイを用いて各種サイトカイン、ケモカイン、接着分子の発現を検索する。 抗体アレイ(RayBio社製サイトカインアレイキット)は数十マイクロリットルの微量検体から多項目のサイトカイン、ケモカイン、接着分子を同時測定できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究が目的とする眼内リンパ腫患者の眼内浸潤機構の解明については、多数の患者から眼内液検体を収集する事が不可欠であり、これまでに十分数の眼内リンパ腫確定診断患者の眼内局所検体を収集、保存する事ができた。これらを用いて、細胞成分を用いて腫瘍細胞株の樹立を試みると同時に、液性成分を用いて網羅的解析行った。液性成分の網羅的解析については多項目のサイトカインについての同時解析が進行しつつある。腫瘍細胞株については樹立を試みている最中であるが、現時点では困難が多い。また、本研究の過程で、慢性活動性EBウイルス感染症による眼内リンパ腫類似の眼内炎症像を明らかにする事ができた。これについては、更なる眼内検体に対する分子学的解析を行い、現在論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
眼内液検体の集積はほぼ完了している。これらについて腫瘍細胞株の樹立を目指す。しかし、現時点までに腫瘍細胞株の成立は困難が多いため、種々の異なる条件設定を行いつつその樹立と解析を目指す。また、並行して液性成分の網羅的解析を継続し、眼内リンパ腫細胞の浸潤機構に関わる分子の解析および新規診断マーカーとなり得る分子の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
(理由) 現時点までに眼内リンパ腫患者眼内液検体の解析が十分になされていない。また、腫瘍細胞株の樹立に至っていない。 (使用計画) 細胞培養液、抗体、PCR試薬、ELISAキット、フローサイトメトリー試薬などに対して使用する見込みである。
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