2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K10842
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
直井 信久 宮崎大学, 医学部, 教授 (50211412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中馬 秀樹 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20244204)
杉本 貴子 宮崎大学, 医学部, 助教 (40381074)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 網膜変性 / 黄斑変性 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年に新しくわれわれが見いだした黄斑変性と周辺部網膜変性を併せ持つ患者群の詳細な臨床研究に力を注いだ。この疾患は新しい疾患概念の可能性があることが判明している。当該地域に足を運んで新たな家系調査により約40名の患者を見いだした。 これらの患者の同意を得て、明治時代までの戸籍を遡る方法によりそれらの患者の関係を特定することにほぼ成功した。それらの家系調査によって、すべての患者は宮崎県山間部の特定の地域にルーツをもつ患者であることが判明した。 遺伝形式は優性遺伝であると考えられるが、遅発性の発症であるため、保因者であると考えられるものの中にも、生存中に発症していないものもあった。 遺伝子解析は、倫理委員会の承認を得た後に、患者の同意の下採血を行い、患者DNAの抽出解析を行っている。まず類似疾患の3つの候補遺伝子をサンガー法により解析したが、有意の変異は確認できなかった。 28年度は複数の患者およびその兄弟姉妹の正常者、それらの両親のDNAを抽出し、全エクソンのエクソーム解析を行った。現在エクソーム解析は終了し、既知の黄斑変性に関連する遺伝子の解析では有意の遺伝子変異は発見できなかった。このため未知の遺伝子領域から候補遺伝子を選び出し、患者と正常者のセグリゲーションを行っている段階である。 (なお本変性症の研究についてはまだ遺伝子解析で最終結果が出ていないために公表できず、これ以上の詳細を記載することは差し控える。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年新しくわれわれが見いだした黄斑変性と周辺部網膜変性を併せ持つ新しい疾患概念の可能性がある患者群の原因究明に力を注いでいる。 サンガー法による候補遺伝子の解析は終了したが、その時点では原因遺伝子を特定できなかった。 そのため複数の患者およびその兄弟姉妹の正常者、それらの両親のDNAを抽出し、全エクソンのエクソーム解析を行った。現在エクソーム解析は終了し、そこから候補遺伝子を選び出し、患者と正常者のセグリゲーションを行っているがその時点までは順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
27年新しくわれわれが見いだした黄斑変性と周辺部網膜変性を併せ持つ新しい疾患概念の可能性がある患者群の詳細な臨床研究を推進する。詳細な家系調査は終了した。その結果そのすべての患者は宮崎県山間部の特定の地域にルーツをもつ患者であることが判明した。 また遺伝子研究ではそのため複数の患者およびその兄弟姉妹の正常者、それらの両親のDNAを抽出し、全エクソンのエクソーム解析を行った。現在エクソーム解析は終了し、そこから候補遺伝子を選び出し、患者と正常者のセグリゲーションを行っている段階であるので、ここを継続して最終的に原因遺伝子を突き止めるとともに、この遺伝子が網膜のどこで発現し、網膜変性を引き起こしているかを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
現在費用の高いエクリーム解析を行っているが、その際中国温州医科大学の協力を得て、費用を安くし行ってもらっていることが大きな理由である。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回発見された網膜変性につき、2つの候補遺伝子の解析を行ったが、今のところ有意の変異は確認されていない。今後はさらに候補遺伝子の範囲を広げるとともに、家系の中で患者及び非発症者の協力者を募り、エキソーム解析を行っていく予定である。またこの変性は遅発発症であるため、眼底を精査して正常であることを確認する必要がある。当該地域には眼科診療施設がないため、現地調査を再度計画している。遺伝子解析の結果が出た時点で、再度健常者も含め遺伝子型を確認し、本網膜変性症の本態を確認すると同時に、遺伝子機能についても実験を行って論文を仕上げる計画である。また本変性では黄斑部網膜下新生血管を発症して加齢黄斑変性類似の病巣をとることがあるが、一般の加齢黄斑変性の患者でも本症に類似の遺伝的な要因が働いている可能性も調査するつもりである。
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