2015 Fiscal Year Research-status Report
SMILE手術のエネルギー設定の最適化と角膜、眼表面、視機能に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
15K10846
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
神谷 和孝 北里大学, 医学部, 准教授 (80439116)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 屈折矯正手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
①白色家兎によるSMILE術後の角膜ベッド表面の平滑性の検討 予備的な研究から得られた140, 160, 180 nJのエネルギー設定、矯正量2, 6, 10 D、スポット間隔2.5, 3.0 μmと可変させた上で、SMILE手術を施行し、その後走査型電子顕微鏡を用いて、角膜片表面の平滑性を既報の診断基準(Wilhelm’s Criteria)に従い、スコア化(0~11点)した。その結果、エネルギーが高いほど、矯正量が大きいほど、角膜表面の平滑性は低下し、スポット間隔は有意な影響を及ぼさないことが明らかになった。 ③SMILEにおける最適レーザーエネルギ-設定の臨床的検討 これまでの予備的な研究で得られた140, 170 nJの標準、高速エネルギー設定でSMILE手術を施行し、術後3か月の時点で眼球光学特性測定機器(Optical Quality Analysis System)を用いて定量的に評価した。その結果、標準・高速モードによるSMILEの安全性や有効性は高く、眼球光学特性はほぼ同等であり、本術式のエネルギー設定の違いが視機能に及ぼす影響は少ないことが示唆された(Kamiya et al. Effect of femtosecond laser setting on visual performance after small incision lenticule extraction for myopia. Br J Ophthalmol. 99:1381-1387, 2015.)。 ⑦SMILEの臨床成績の検討 SMILE手術を施行した症例に対して術後1年までの視力・屈折経過を検討した。その結果、平均裸眼視力が1.45、矯正視力が1.58、予測性は全症例が±0.5D以内に入り、術後1週からの屈折度数変化は0.05 ± 0.32 D 、重篤な合併症は認めなかった。SMILEは安全性、有効性、予測性、安定性が良好である術式と考えられた(Kamiya K et al. Visual and refractive outcomes of small incision lenticule extraction for the correction of myopia: 1-year follow-up. BMJ Open. 5:e008268, 2015.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた②白色家兎によるSMILE術後の炎症マーカーとアポトーシスの発現の検討は、白色家兎によるSMILEを施行する施設上の制約があり未施行となっているが、許可が得られ次第可及的速やかに実験を計画している。その他の検討については、予想より早く進捗しており、欧米雑誌にすでに2報が掲載されている(Kamiya K et al. Br J Ophthalmol. 99:1381-1387, 2015, Kamiya K et al. BMJ Open. 5:e008268, 2015.)。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度予定していた②白色家兎によるSMILE術後の炎症マーカーとアポトーシスの発現の検討は、許可が得られ次第直ぐに実験を計画している。その他、④SMILEおよびLASIK術後の角膜生体力学特性の比較⑤SMILEおよびLASIK術後の角膜神経線維密度、角膜知覚、オキュラーサーフェスの比較⑥SMILEおよびLASIK術後の術後視機能・患者満足度の比較⑦SMILEの長期臨床成績の検討については症例数を増加した上で、予定通り研究を継続する。
|
Causes of Carryover |
今年度予定していた②白色家兎によるSMILE術後の炎症マーカーとアポトーシスの発現の検討が未施行となり、白色家兎購入代、飼育代、実験に必要な試薬品代、人件費が発生しなかったためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに機器の申請は行わない。一部新たに開発された角膜生体力学特性測定波形解析ソフトウエアの購入代に充てる。また、本研究成果を国内・海外学会で発表するための旅費、論文投稿にかかる謝金、論文掲載料等にも使用する予定である。
|