2016 Fiscal Year Research-status Report
白内障手術による睡眠と運動機能の改善メカニズムの解明
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15K10847
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
綾木 雅彦 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (00167967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 健 福岡女子大学, 人間環境学研究科, 教授 (20326474)
名倉 武雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (90306746)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 白内障 / 眼内レンズ / 睡眠 / 運動活動 / 網膜神経節細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、高齢白内障患者を対象として、寿命や疾患罹患率と関連が深く健康指標として重要である歩行速度と睡眠の質を術前術後に測定し、若干の知見をえて、これまでにも学会と論文発表を重ねてきた。今回は白内障混濁と睡眠についてさらなる検討を行い、国内外の学会で発表し論文投稿することができた。方法は、白内障患者連続症例180名(平均年齢74.2歳)のピッツバーグ睡眠質問票(以下PSQI,5.5点以上が睡眠障害)を白内障眼内レンズ挿入術の術前と術後2か月に測定ならびに調査した。その結果、白内障混濁、特に後嚢下混濁と睡眠改善の関連が大きいことを明らかにした(P=0.009)。後嚢下混濁の有無で比較しても、術前に後嚢下混濁がある群のほうがPSQIの改善(P=0.046)、睡眠潜時の改善(P=0.028)ともに有意に大きかった。従来は核混濁が白内障と睡眠の関係に関与するとされてきたので、これは新知見である。また、白内障術後の視機能と精神機能、運動機能の改善には視力改善以外にも混濁水晶体を除去し眼底の網膜神経節細胞の光受容の改善が重要である。電気生理学的手法による網膜神経節細胞の評価法が成功し、学会発表までできる運びとなった。この手法を使用して重症緑内障患者の評価を行った結果、緑内障患者では網膜神経節細胞の電気活性が低下していることを世界で最初に示すことができ、論文も採択された。今後も白内障術後の睡眠障害の改善に関してメラトニン測定、生活習慣測定、運動機能測定、術前術後の眼内への光透過性の測定を行って、より詳細な検討を進めていく予定である。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題にそった作業が進んでいる。成果としての学会発表と論文発表もできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も同様に臨床研究と基礎研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初内分泌検査、運動機能検査を行う予定であったが、電気生理実験に時間と労力をとられ実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通りに睡眠検査、運動機能検査をおこなう。または、論文作成費用にあてる。
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Research Products
(10 results)