2016 Fiscal Year Research-status Report
光感受性物質由来蛍光の可視化を応用した加齢黄斑変性の個別化医療の確立
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15K10850
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
飯田 知弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50241881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸子 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 特任講師 (10443871)
古泉 英貴 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20551500)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ベルテポルフィン / 光線力学的療法 / 滲出型加齢黄斑変性 / 蛍光撮影 / 脈絡膜新生血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
滲出型加齢黄斑変性の治療に用いられる光感受性物質であるベルテポルフィン由来の蛍光を眼底で検出可能であることを、本研究の初年度である平成27年度にラットの眼底において確認できている。ベルテポルフィン溶液のラットへの投与量は、ヒトの滲出型加齢黄斑変性の治療に用いる投与量に準じて体重および体表面積から算出した。ラットで観察可能であった励起フィルタとバリアフィルタの組み合わせを搭載した眼底カメラ装置(キャノン社CX-1)の眼底自発蛍光撮影モードを用いることで人眼でベルテポルフィン由来蛍光が観察できるかを検討した。 滲出型加齢黄斑変性患者において、実臨床における光線力学的療法で推奨されているプロトコール、すなわちベルテポルフィンを6mg/㎡(体表面積)を5%ブドウ糖溶液30mlに溶解し、シリンジポンプを用いて10分間かけて投与したのち、レーザー光照射前に同装置で観察を行った。 静脈内投与中および投与後(1分後、5分後、15分後)に撮影を行ったが、眼底からは十分な蛍光を得ることができなかった。すなわち、ラット眼では、正常眼で網膜血管内に蛍光が観察でき、実験的に作成した脈絡膜新生血管にも集積した蛍光が観察できたが、人眼ではこのいずれでも観察に十分な蛍光は検出できなかった。なお、東京女子医科大学倫理委員会で承認され、当該患者への十分なインフォームドコンセントを得た上で撮影を行っている。 ラットで観察できた蛍光が、何故、ヒトで観察できないのか、その原因の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同一の励起フィルタとバリアフィルタを搭載した眼底カメラ装置を使用したにもかかわらず、ラット眼において観察可能であったベルテポルフィン由来の蛍光が人眼では得られず、その原因は不明である。 現在検討している事項は、ベルテポルフィン投与量の問題、血中薬物動態の違い、観察光量の問題などである。
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Strategy for Future Research Activity |
人眼でベルテポルフィン由来の蛍光が観察できない原因の究明を進める。 ベルテポルフィン投与量に関しては、ヒトへの実臨床での使用量と同程度になるように体重および体表面積から算出をしてラットに投与しており、血中濃度は同程度と考えられる。血中薬物動態の違い、観察光量の問題などを検討予定である。
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Causes of Carryover |
ヒトにおける研究において、動物眼と同様な結果が得られなかったため、その原因究明を行っており、当初予定した研究計画通りに進まなかった。 また、学会参加で旅費を予定していたが、招待を受けたため支出が不要となった。 以上の理由により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の原因究明を進めて問題点を解決することで、ヒトへの応用を目指す計画である。 また、学会での発表も計画している。
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