2015 Fiscal Year Research-status Report
原発開放隅角緑内障発症メカニズムの解明 -眼圧上昇メカニズムの遺伝学的検討-
Project/Area Number |
15K10861
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
間渕 文彦 山梨大学, 総合研究部, 講師 (20322125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 賢治 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (30194723)
櫻田 庸一 山梨大学, 総合研究部, 助教 (90456476)
米山 征吾 山梨大学, 総合研究部, 助教 (90751652)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原発開放隅角緑内障 / 遺伝子多型 / 眼圧 / POAG / IOP |
Outline of Annual Research Achievements |
原発開放隅角緑内障(POAG)感受性遺伝子多型は、眼圧(IOP)上昇に関与するIOP-related 遺伝子多型と、眼圧とは別に視神経の脆弱性に関与するnon-IOP-related 遺伝子多型の2つに分類されると考えられる。我々は、5 つのnon-IOP-related 遺伝子多型の解析により、狭義POAG(HTG)発症にはIOP-related 遺伝子多型(眼圧上昇)だけでなく、non-IOP-related 遺伝子多型(視神経脆弱性)も重要な役割を果たしていること、緑内障家族歴がPOAG 発症の危険因子なのは、緑内障家族歴がPOAG感受性遺伝子の影響を反映しているためであることを見出し報告した。本研究では、IOP-related 遺伝子多型を多く持つ症例程、眼圧が高くなる傾向がみられないか解析し、眼圧上昇メカニズムについて検討するとともに、これまでのnon-IOP-related 遺伝子多型のデータも合わせて解析を行い、POAG 発症メカニズムを遺伝学的により明らかにしていく。 今年度は、IOP-related遺伝子多型:rs2472493 (近傍の遺伝子:ABCA1)、rs6445055 (FNDC3B)、rs8176743 (ABO)、rs1052990 (CAV1/CAV2)、rs11656696 (GAS7)、rs59072263 (GLCCI1/ICA1)、rs58073046 (ARHGEF12)、rs2286885 (FAM125B)、日本人において報告されているPOAG感受性遺伝子多型:rs547984 (ZP4)、rs7081455 (PLXDC2)、rs7961953 (TMTC2)、日本人正常眼圧緑内障(NTG)との関連が示唆されている遺伝子多型:rs9841621 (SATB1)、POAG表現型との関連が報告されている遺伝子多型:rs2075662 (COL15A1)の遺伝子型を、TaqMan SNP genotyping assay 法にて同定した。また、表現型の評価として視力、屈折、最高眼圧、診断時年齢、緑内障家族歴などの臨床検査、問診を行い、遺伝子型との関連について検討したところ、PLXDC2遺伝子近傍の多型がIOP-related遺伝子多型であること、 SATB1遺伝子近傍の多型がPOAG発症に関与している可能性について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IOP-related 遺伝子多型を多く持つ症例程、眼圧が高くなる傾向がみられないか解析し、眼圧上昇メカニズムについて検討するため、IOP-related遺伝子多型の遺伝子型を同定する必要があるが、解析に必要な多型の同定がほぼ終了しており、予定通りの進捗状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した10のIOP-related 遺伝子多型について、各症例におけるrisk allele の合計(0~20 個)と各遺伝子多型のPOAG 発症リスク(相対危険度)の積を算出し、NTG 群、HTG 群、コントロール群間で比較する。また、POAG 症例において、risk allele の合計やPOAG 発症リスクの積と最高眼圧に相関が認められないか重回帰分析を行うとともに、緑内障家族歴や診断時年齢との関連がみられないか検討する。また、終了していないnon-IOP-related 遺伝子多型の同定も引き続き行い、IOP-related 遺伝子多型とnon-IOP-related 遺伝子多型を併せて解析を行うことで、POAG 発症メカニズムを遺伝学的により明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
試薬等を購入するには少額で難しく、次年度と合わせて使用することで有効利用が可能なため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子解析に使用している試薬は、単価が10万円程度するため、購入の際に次年度と合わせて使用する。
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