2015 Fiscal Year Research-status Report
神経ステロイドはGABA受容体を介して緑内障性視神経症の発症を防御する
Project/Area Number |
15K10888
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
石川 誠 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10212854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 健志 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経ステロイド / 緑内障 / グルタミン酸 / 興奮毒性 / 神経保護治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットex vivo分離眼杯標本に、10 mmHg、35 mmHg、75 mmHgの3段階で24時間の加圧負荷を行った。その後、眼杯標本から網膜を採取し、網膜内に於けるグルタミン酸受容体作用型の神経ステロイドである24S-Hydroxycholesterol(24S-HC)合成酵素であるCYP46A1のmRNAとタンパクの発現量、および網膜内の24S-HC量を、Real time PCR法、ELISA法、液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC-MS/Mで)で測定した。その結果、CYP46A!のmRNAとタンパクの発現、および網膜内24S-HC量は圧依存性に増加した。 24S-HCが本ラットex vivo緑内障モデルにおいて神経傷害的に作用するのか、神経保護的に作用するのかを決定するため、培養液中に24S-HCを添加して、無添加群と比較した。24S-HC無添加群では、10 mmHgおよび35 mmHgでは形態学的変化は認められなかったが、75 mmHgでは網膜神経節細胞の軸索の腫脹が認められた。しかし、24S-HC(1 μM)添加群では、75 mmHgにおいて軸索の腫脹は認められなかった。 CYP46A1合成阻害薬であるvoriconazoleを培養液中に添加して加圧すると、いずれの圧においても網膜傷害を認めた。voriconazoleによる網膜傷害は、培養液中に24S-HCを投与することで抑制された。また、voriconazoleによる網膜傷害はグルタミン酸受容体拮抗薬によって抑制されたことから、voriconazoleによる網膜傷害はグルタミン酸受容体を介した興奮毒性と考えられた。 また、GABA受容体作用型神経ステロイドAllopregnenoloneが、TSPO、5-alpha-reductase Type 2を介して網膜内で生成されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進行している。ラットex vivo緑内障モデルにおいて、グルタミン酸受容体作用型の神経ステロイドである24S-Hydroxycholesterol(24S-HC)が、神経保護的に作用することを決定した。また、CYP46A1合成阻害薬であるvoriconazoleによる網膜傷害はグルタミン酸受容体を介した興奮毒性であることを明らかにした。さらに、GABA受容体作用型神経ステロイドAllopregnenoloneが、TSPO、5-alpha-reductase Type 2を介して網膜内で生成されることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットex vivo緑内障モデルにおいて、神経興奮抑制型のGABA受容体に作用する神経ステロイドであるAllopregnanolone (AlloP)が、神経保護的作用することを確認する。さらに、AlloPがTSPO agonistによって生成増強され、TSPO antagonistによって生成抑制されることを証明する。TSPO agonistが緑内障モデルにおいて神経保護的に作用する可能性を検討する。 グルタミン酸受容体作用型の神経ステロイドである24S-Hydroxycholesterol(24S-HC)とGABA受容体作用型神経ステロイドAllopregnenoloneは、ともに加圧によって網膜内で生成される。両者はNMDA型受容体を介したストレス応答である可能性について、グルタミン酸受容体拮抗薬を用いて検索したい。そして、両者が神経保護的に協調して作用する可能性について検討する予定である。
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Research Products
(7 results)