2016 Fiscal Year Research-status Report
神経ステロイドはGABA受容体を介して緑内障性視神経症の発症を防御する
Project/Area Number |
15K10888
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
石川 誠 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10212854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 健志 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緑内障 / 神経ステロイド / グルタミン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
GABAA受容体作用型NS(Allopregnanolone, AlloP)とNMDA受容体作用型NS (24S-Hydroxycholesterol, 24SH) について,正常ラット分離加圧標本をもちいたex vivo加圧実験を行い,以下①~③の検討を行ない,「神経ステロイドは神経伝達物質受容体を介して緑内障性視神経症の発症を防御する」ことを検証した。①眼圧上昇時,各NSが網膜に発現することを確認する。②GABAA受容体作用型NSは,加圧負荷時に神経保護性に作用するか否かを明らかにする。③NMDA受容体作用型NSは,加圧負荷時に神経傷害性に作用するか否かを明らかにする。 1. 正常ラット分離加圧標本の作成 正常ラットを用いて,眼球分離標本を作成する。加圧実験は,眼球分離標本を独自に開発した閉鎖型加圧実験装置を用いて30℃,24時間加圧した。 2.加圧によって網膜内に発現するNS量の測定 加圧負荷によって網膜内に発現するAlloPと24SHの量を,ELISA,蛍光免疫組織染色法,液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計(LC/MS/MS)で調査した結果,網膜内のAlloPと24SHの発現量は,加圧によって圧依存性に増加することが明らかになった。 3.加圧負荷時のNSの作用の検討 加圧負荷時のNSの作用が,神経傷害性か,神経保護性か明らかにする為に,培養液中にAlloPと24SHを添加して加圧した結果,AlloPと24SHは加圧障害に対して神経保護的に作用することが明らかとなった。一方,培養液中に各NSの合成阻害薬を投与して加圧すると,組織傷害が誘導された。グルタミン酸受容体に対する拮抗薬をNS合成阻害薬とともに培養液中に投与して加圧すると,神経傷害が抑制されたため,グルタミン酸興奮毒性の関与が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
科学研究費によって助成いただいている本研究は概ね順調に進んでおり,これまでの研究結果を以下の2論文として発表することができた。 Ishikawa, M., Yoshitomi ,T, Zorumski, C.F., Izumi, Y. 24(S)-Hydroxycholesterol protects the ex vivo rat retina from injury by elevated hydrostatic pressure. Sci Reports 6:3388, 2016. Ishikawa, M., Yoshitomi, T, Covey, D.F., Zorumski, C.F., Izumi, Y. The synthetic enantiomer of allopregnanolone effectively protects the ex vivo rat retina from injury by elevated hydrostatic pressure. Neuropharmacology 2016 in press. I 来年度の研究も予定通り計画できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,以下の3点に焦点を絞って研究を進めて行く予定である。 1)眼圧上昇時の神経ステロイド誘導のメカニズムの解明 眼圧上昇時にGABAA受容体作用型NS(AlloP)とNMDA受容体作用型NS (24SH)は、共に網膜神経節細胞において生成される。これまでの中枢神経における報告から,神経細胞におけるNSの誘導は,NMDA受容体の刺激と関係していると考えられる。そこで,眼圧上昇時にNMDA受容体拮抗薬を投与して,AlloPと24SHの生成が抑制されるか否かを検討する予定である。眼圧上昇時にNMDA受容体拮抗薬がNSの生成を抑制すれば,NSの誘導はNMDA受容体の刺激によると考えられる。
2)眼圧上昇時のGABAA受容体作用型NS(AlloP)とNMDA受容体作用型NS (24SH)のSynergic効果 眼圧上昇時にAlloPと24SHがNMDA受容体を介して同時に生成がされ, 神経保護的に作用するとすれば,AlloPと24SHは眼圧上昇というストレスに対して反応性に生成されたものと考えられる。これまではAlloPあるいは24SHを単独で作用させてきたが,AlloPと24SHを同時に作用させた方が生理的な状態に近く,より効果的な神経保護効果を得られる可能性があり,この点を調査したい。
3)in vivo緑内障実験モデルにおける神経ステロイドの動態と神経保護効果の検証 現在,前房内マイクロビーズ注入によるin vivo緑内障実験モデルを作成中である。ex vivo緑内障モデルで得られた結果が、in vivo実験モデルでも再現可能か否かを検証し,緑内障神経保護役の開発に発展させる計画である。
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Research Products
(5 results)