2016 Fiscal Year Research-status Report
神経栄養因子による副交感神経保護及び神経修復作用を介した角結膜上皮創傷治癒効果
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15K10904
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
土至田 宏 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (00306961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 史子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (30246467)
藤巻 拓郎 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (50333042) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経栄養因子 / 副交感神経 / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らが開発した眼表面や涙腺を支配領域とする副交感神経を除神経することでドライアイを発症させた動物モデルを用い、その切断された神経の修復作用を促す効果が発揮される可能性を確認するために、徐神経部位に神経栄養因子を投与した。神経栄養因子のうち、神経保護作用や神経修復作用により切断された神経の再生を促すことが知られている、グリア細胞由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor: GDNF)が最も重要と思われたことから、他の神経領域の既報から推察された至適濃度を投与し、角結膜上皮障害(フルオレセイン染色およびローズベンガル染色)、涙液分泌量、涙液層破壊時間、角膜知覚等を観察した。投与方法も術野への直接投与や全身投与に至るまで多岐に渡る方法を検討した結果、神経栄養因子単独投与ではいずれの方法によってもこれらの所見の改善効果は認められなかった。その理由として推察されたのが、同因子が単独投与されても周辺組織に吸収・分解される可能性であった。 そこで、次に近年再生医療領域で臨床応用されている神経連結管を同徐神経部に用いたところ、これらフルオレセイン染色スコア、ローズベンガル染色スコア、涙液分泌量、涙液層破壊時間、角膜知覚等眼所見における改善効果が、一部の動物で認められた。具体的な回復速度は現時点ではまだ条件によってまちまちであるため、今後は最適な濃度、神経連結管の条件を見い出していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経栄養因子のうち、グリア細胞由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor: GDNF)が最も重要と思われ、至適濃度と思われる量を投与した。その投与方法は多種類を検討したきたが、その単独投与のみでは角結膜上皮障害、涙液分泌量、涙液層破壊時間、角膜知覚等の所見の改善効果は認められなかった。その理由として、同因子が単独投与されても周辺組織に吸収・分解される可能性が挙げられたが、上述の神経連結管を用いたところ、これら所見の回復傾向がみられたことから、本年度で研究の遅れも取り戻せるものと推測する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における涙腺の支配神経である副交感神経、大浅錐体神経を保護、修復させる作用としては、本研究遂行中において最も有効と思われる神経連結管を用いた方法を今後行う事で、神経栄養因子の投与方法の方向性が得られた事から、本年度はこの方法で集中的に実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
試薬代の価格変更が生じていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に用いる試薬代の一部として使用予定。
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