2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K10906
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山口 剛史 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (20383771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 俊英 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50365342)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 角膜移植 / 角膜内皮細胞 / 拒絶反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は予定通り下記の事項を実行した。①前房水を患者からもらうため、研究計画を倫理審査委員会から承認された。②正常眼、角膜移植眼、コントロールとして角膜混濁眼、角膜内皮細胞密度減少眼から、手術の際に前房水を50-300ul集めた。平成27年10月から前房水サンプル採取を開始し、平成28年3月末までに157眼のサンプルを蓄積した(平成28年4月で195眼)。サンプルは遠心して細胞成分を除去したのちに、-80度で保存している。③一度にMultiplex assayで測定できる80サンプルにつき、PorcaPlexキット(Luminex社)を用いて、サイトカイン濃度の測定を行った。なぜ角膜内皮細胞が減少するのか(失明につながる)、なぜ特定の患者に拒絶反応がでるのか、につながる、新しい知見が得られた。④上記の患者の基礎データ(視力、年齢、性別、眼圧、基礎疾患、虹彩損傷因子)のデータ入力を行った。⑤既存の2007-2011年までの角膜移植後の臨床因子に関するデータベースの多変量統計解析を行い、角膜内皮細胞密度に関与する因子として、ⅰ虹彩因子、iiグラフト径、iiiグラフト内皮密度、があることを見出し、Scientific reportsに受理された。このことによって、術後の角膜内皮細胞減少に関わる因子として、新たに前房因子を示唆する虹彩因子があることを証明し、本研究を臨床面から裏付けサポートするエビデンスを構築した。
①-④で、国内最多数の角膜移植施設である東京歯科大学で、前房水のサイトカインプロファイルと臨床因子、そして術後の角膜内皮細胞の現象や拒絶反応の発症との関連解析を行うための世界最大のデータベース構築の道筋が整った。平成28年度には、角膜疾患別の前房水サイトカインプロファイルの差を国際医学論文にし、平成29-30年度に前房水サイトカインプロファイル別の角膜移植の臨床予後を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理委員会の承認、サンプルの蓄積、サンプルのサイトカインデータの測定、データ解析、本研究の基礎となる臨床論文の受理まで、すべて予定通り順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
より多くの前房水サンプルを今後2年で採取し、世界最大のサイトカインと臨床因子のデータベースを構築する。この1年で築いたことから、それは十分に可能である。このデータ解析から、角膜移植の長期予後を改善するために必要な①角膜内皮細胞減少の予防、および②拒絶反応の撲滅、にむけて、トランスレーショナル研究を行うための基礎を築く。
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Causes of Carryover |
平成27年度研究費は貴重な税金をもとになっているもので、慎重にかつ大切に使用した結果、68392円の余りがでた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この助成金は平成28年度の研究計画の物品購入費と最近高騰しつつある論文掲載費として使用したいと考えている。
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