2015 Fiscal Year Research-status Report
視神経軸索障害における部位別能動的分子プログラム制御機構の解明
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15K10908
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
北岡 康史 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (10367352)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緑内障 / 視神経 / オートファジー / 老化 / 軸索変性 / TNF |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障では視神経軸索障害が生じるが、根本的治療が存在しない。本邦に多い正常眼圧緑内障患者では、視神経乳頭のリムの菲薄化とそこに一致する神経線維層欠損、さらに隣接する線状出血がたびたび観察され、リムのエッジに病変の原発巣があることも考えられる。その場合そこから篩状板にかけての軸索変性、さらに外側膝状体にかけての変性はワーラー変性ということになる。つまり緑内障性視神経症は大原則である篩状板原発から網膜神経節細胞への逆行性軸索障害と、実は順行性軸索障害が混在する病態であることが推測される。TNF誘発視神経障害モデルでSARM1蛋白レベルを視神経をサンプルに検討した。その結果、SARM1の有意な変化を認めなかった。さらにSARM1 siRNAを用いて、軸索保護効果を検討した。SARM1 siRNAが視神経のSARM1蛋白レベルをノックダウンすることは確認できた。しかしながら、SARM1抑制により、TNFによる軸索変性は変化を認めなかった。つまり、TNF誘発視神経障害においては、SARM1はその軸索変性に関与していないと考えられた。一方老化マウスを用いた検討では、オートファジー機構の上流にSIRT1が関与しており、SIRT1の減少が網膜神経節細胞でも、視神経でも早期に認められることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
老化マウスであるSAMP8、SAMP10において、生後3か月で視神経軸索変性が確認され、軸索数も有意に減少していた。その過程において、視神経でのSIRT1の減少や、p62の増加が確認された。以前視神経障害でのNADの減少を報告しており、その下流の今回のSIRT1減少、そしてさらに下流のp62増加につながり、視神経変性にむかったことを明らかにした。一方、LC3-IIは、この老化マウスでは、視神経軸索減少の起きない生後1か月ですでに上昇しており、これは、神経変性の早期ではオートファジーが活性化され、内因性の保護機構として働いていると考えられ、さらに進むとオートファジーが障害され軸索変性に向かうと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
TNF誘発視神経障害モデルにおいては、Sarm1 siRNAの硝子体注射で軸索保護効果が認められなかったため、今後はPHR1、p62、SGC10、MORN4の役割を検討していく。視神経障害モデルでの、視神経における蛋白レベルのみならず、shRNAなどを用いて、軸索保護効果を検討していく。またそれらがオートファジー関連因子に与える影響や、オートファジーがそれらに与える影響を検討していく。
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Causes of Carryover |
研究を継続して行っているため、初年度は試薬や消耗品をストックから使用できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は購入が必要になり、この予算のおかげでなんとかペースを落とさずに研究を遂行できる予定である。研究は毎日行っており、消耗品や動物、試薬を引き続き必要とする。次年度も論文化に向けて追加実験等も要求されることが予想されている。
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Research Products
(2 results)