2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K10931
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Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
田中 水緒 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (60565232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永原 則之 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10208043)
片山 映 日本医科大学, 医学部, 助教 (10333113)
田中 祐吉 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 臨床研究所長 (50420691)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 腎明細胞肉腫 / alpha-internexin / 診断マーカー / FLIT / ALK融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎腫瘍は小児固形腫瘍のなかでは比較的頻度の高い疾患である。腎芽腫、腎明細胞肉腫 (CCSK)、先天性間葉芽腎腫、ラブドイド腫瘍の4つで小児腎腫瘍の90%以上を占め、これらは疾患ごとに悪性度や治療法の選択に大きな違いがあるのにも関わらず、しばしば組織学的に鑑別が容易ではない。特に診断の手掛かりとなるマーカーが免疫組織学的にも分子生物学的にも乏しいCCSKを標的に研究を行った。我々はプロテオーム解析の手法を用いて、CCSKに特異性の高いマーカーとして、神経細胞に特異性の高い中間径フィラメントの一つ、alpha-internexin (INA)を見出し、腎腫瘍以外の小児腫瘍多数例の切片を用いてINAの免疫組織学的検討を行った結果、INAのCCSKでの感度・特異性共に高い陽性所見を確認した。現在得られた結果の論文発表の準備をしている。 一方先天性肺気道奇形(CPAM)に代表される先天性嚢胞性肺疾患は小児科領域では少なからず経験される。従来CPAMを母地として胸膜肺芽腫(PPB)が発症することが知られてきた。特にCPAM type4とPPB type1とは肉眼的/組織学的所見ともに重複する部分があり、その異同が議論されている。細胞遺伝学的な研究としては、DICER1遺伝子変異が報告されているが、未だ十分な検討はなされていない。近年では長期経過を経たCPAM type1に発症した腺癌にKRAS遺伝子変異の報告がある。また、新生児・乳児に発生する肺腫瘍性病変であるfetal lung interstitial tumorは、CPAM type3と組織像の類似点が指摘されている。さらに同腫瘍とされた病変ALK融合遺伝子の検出が報告され、細胞遺伝学的アプローチによる同腫瘍の本態の解明が期待されており、我々も新生児・乳児肺病変を用いて、検討に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CCSKの診断マーカーのINAの有用性については論文発表準備と、腎腫瘍以外の小児腫瘍多数例を用いてINAの免疫染色による検討の継続を行っている。現時点までに腎外発生CCSK様腫瘍でのINAの陽性所見が確認されている。 肺腫瘍についてfetal lung interstitial tumorが鑑別疾患にあがる新生児・乳児肺腫瘍を用いて、主にALKの免疫染色および分子生物学的手法を用いたALK遺伝子異常の検討に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
近年CCSKにBCOR遺伝子のinternal tandem duplication (ITD) が見られ、免疫組織学的にBCORが陽性となることが報告された。現時点で腎外発生CCSK様腫瘍でのINAの陽性所見が確認されており、さらにこれらの腫瘍でのBCORの免疫染色や、BCOR遺伝子の分子生物学的検討を行うことで、CCSKとこれらの腫瘍の異同について検討予定である。 また新生児・乳児肺病変の組織像とALK融合遺伝子の検出の検討を進める。
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Causes of Carryover |
本課題は採択決定が10月であり、研究の着手が初年度後半となった。そのため申請時に予定していた研究予定の一部が先送りとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CCSKのマーカーについては順調に研究が進んでおり、今後は腎臓外腫瘍でのINA陽性腫瘍について、CCSKとの分子生物学的相同性の検討を予定している。肺腫瘍については対象疾患をさらに広げて検討を行う予定にしている。 実験に必要な試薬の購入に加えて、検体の郵送費、検討結果の国内外での発表に対して研究費の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] The clinical phenotype of YWHAE-NUTM2B/E positive pediatric clear cell sarcoma of the kidney.2016
Author(s)
Gooskens SL, Kenny C, Lazaro A, O'Meara E, van Tinteren H, Spreafico F, Vujanic G, Leuschner I, Coulomb-L'Hermine A, Perotti D, de Camargo B, Bergeron C, Acha Garcia T, Tanaka M, Pieters R, Pritchard-Jones K, Graf N, van den Heuvel-Eibrink MM, O'Sullivan MJ.
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Journal Title
Genes Chromosomes Cancer.
Volume: 55
Pages: 143-147
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research