2015 Fiscal Year Research-status Report
皮下脂肪細胞の部位特異的機能差の由来とその制御による移植用最適細胞調整法の探求
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15K10934
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
窪田 吉孝 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (10375735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 正幸 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00253005)
三川 信之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40595196)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / 脂肪移植 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪移植は組織増量のみならず創傷治癒の促進や瘢痕成熟の加速にも有用であることが明らかとなってきた。移植脂肪のドナーとしてよく用いられる腹部皮下組織には浅筋膜という繊維性の膜で隔てられた浅層脂肪組織と深層脂肪組織が存在することがよく知られている。浅層脂肪組織と深層脂肪組織は解剖学的に明らかな構築の差違が存在し、その違いは肉眼的にも確認できる。浅層脂肪組織は脂肪小葉が立方体や直方体形で脂肪小葉間の繊維性の隔壁が厚い。深層脂肪組織は脂肪小葉が扁平で小葉間の繊維性の隔壁が薄い。このことから、浅層脂肪組織は圧力に対する防御機能があり、深層脂肪組織は皮膚の伸展・滑りを担っている、と考えられている。脂肪組織の生理学的な性質の違いとしては、これまで皮下脂肪組織と内臓脂肪組織との間で全身の代謝に与える影響の違いが詳細に研究されている。内臓脂肪組織の方が皮下脂肪組織と比べてより強くメタボリックシンドロームと関連していることが明白になっている。一方、皮下の浅層と深層の間の生理学的な機能の違いはこれまで殆ど明らかにされてこなかった。近年、肥満患者において深層脂肪組織の増加が浅層脂肪組織の増加と比べてより強く代謝異常に関連している可能性があるという報告が徐々に増えてきた。しかし、その根本的な理由は不明なため、我々は細胞レベルでの研究が必要と考えた。ヒト皮下脂肪組織の浅層と深層それぞれから別々に、天井培養法により脂肪細胞を単離した。おのおのの細胞に対し種々の条件下での脂肪分化を行ったところ、脂肪分化の程度や脂肪分化マーカーの発現に大きな差違がみらた。分化能の違いは細胞性質の違いを強く反映している。幹細胞の研究で明らかになってきたとおり、分化能の違いはエピジェネティクスの違いによる部分が大きい。浅層脂肪細胞と深層脂肪細胞との間に分化能の違いがあることはエピジェネティクスの差違の存在強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常ヒト脂肪組織から初代培養脂肪細胞を得ることそれほど容易ではないが、これまでの研究経験の蓄積からヒト脂肪組織からの天井培養法による脂肪細胞単離を当初の予想より短期間で安定して行えるようになったため。また、そのことにより得た初代培養脂肪細胞の特性解析に研究資源を投入することが可能となり、実験の遂行が比較的容易に行えるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト脂肪組織の浅層・深層それぞれから天井培養法により単離した初代培養脂肪細胞の細胞特性解析を進める。脂肪分化能や刺激反応性の違いをより詳細に明らかにする。また、それらの表現形の差の根源的な理由が何であるかを探求する。そのために幹細胞から分化細胞に至る細胞特性を制御している因子であるDNAメチル化などのエピジェネティクス的差違の解析とその由来を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ヒト細胞培養が安定して行えるようになったことと物品の節約により当初の見込みより使用が減ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より詳細な細胞特性の解析に用いる予定である。
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