2015 Fiscal Year Research-status Report
非ウイルス性遺伝子導入を用いた皮弁血流安定化と生着域拡大の実現に向けた研究
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15K10935
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長谷川 正和 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (40375738)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮弁 / 虚血 / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
個々の皮弁には、その生着面積に制限がある。生着可能な領域を超えた皮弁を挙上すると、生着領域外である皮弁の遠位は血流が不十分となり、虚血から壊死に至る。皮弁と移植床との間に新たな血管網が再構築されると、移植した皮弁は、本来の皮弁への血流が途絶えたとしても移植先からの血流で栄養されるため壊死することはない。我々は、皮弁挙上の前に、虚血耐性に関与する因子を非ウイルス性遺伝子導入を用いて予め局所に投与することで、皮弁と移植床との間の血管網が再構築されるまでの期間、虚血に耐えることが可能となり、その結果、壊死を回避して皮弁生着域の拡大効果が得られるという仮説を立てた。虚血耐性に関与する因子の中から、はじめに、hypoxia-inducible factor-1 alpha: HIF-1 alphaを用いてin vitroの実験を行った。遺伝子導入に使用する非ウイルス性DNAはGFP co-expression タイプを選択した。予備実験で得られた結果から、非ウイルス性DNA の導入効率が比較的高いマウス線維芽細胞に作成した非ウイルス性DNA を導入してGFPの発現を経時的に観察した。その結果、HIF-1 alpha遺伝子の導入効率は約25%、発現持続期間は12日間であった。 今後、heat shock protein 32 : HSP32を用いたin vitro実験の結果が揃い次第、マウスを用いたin vivo実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
勤務先が異動になり、研究に費やす時間を確保することが極めて困難な状況となったことが原因である。異動先の病院では、新規に診療科を一人で立ち上げることを要求されたため、平成27年度はその大半を臨床に費やすこととなり、当初の研究実施計画から遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究に充てる時間の確保を最優先とした勤務体制を確立することで、当初の研究実施計画を遂行することは十分可能と考える。
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Causes of Carryover |
勤務先が異動になり、平成27年度は実験を遂行することが困難な状況に置かれたため、海外の研究協力者に実験を依頼した。そのため、直接経費を使用する必要性がなかったので、次年度に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の実験は全て国内で行う予定である。また、すでに得られた実験結果についても再現性を確認する実験をあらためて行う。
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