2015 Fiscal Year Research-status Report
脱神経皮弁における神経再生の機序の解明 -皮膚からのシグナルに着目して-
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15K10937
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森 弘樹 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (80345305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 睦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50311618)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 無知覚皮弁 / 神経再生 / 共培養 / 表皮細胞 / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【対象と方法】実験には7-8週齢 平均263g程度のWister系ラットを用いた。予備実験として背部の神経血管茎皮弁を作成したが、顕微鏡を使用することができない環境のため、安定した血管茎、神経剥離を行うことが難しく、下肢を皮弁に見立てることに変更した。吸入麻酔下に後ろ脚の基部に全周性の皮膚切開を行い、左足は坐骨神経・大腿神経切断し10mmの神経欠損を作成し、知覚脱失皮弁とした。右足は皮膚切開のみを行うことでコントロールとした。 評価項目は生体内評価として冷刺激後の血流変化測定を行った。また組織学的評価として施術後1週後群、4週後群で皮膚皮下組織を採取し、各種免疫染色を行った。冷刺激による血流変化ではレーザードップラー血流計を用い、ラットを腹臥位で固定して切開のみである右足をbaselineとし、0℃の氷水で5分間下肢を冷却し、解除後1分毎に10分間足底の血流を無毛部足底皮膚で計測した。免疫染色はp2x3、TRPV1(VR1)、semaphorin、神経成長因子(NGF)について皮膚の染色態度を比較した。 【結果】冷却刺激後の血流変化では1週間群で冷刺激後1分の値で有意に切断群で血流低下を認めた。その後は切断群で血流低下を認めるものの、有意差は認めなかった。4週群では両群で有意差を認めなかった。p2x3では表皮、真皮ともに切断群で陽性細胞数の低下を認めたが有意差は認めなかった。VR1では表皮、真皮ともに切断群で陽性細胞数の低下を認めたが有意差は認めなかった。semaphorinでは4週間群の真皮で有意に減少した。NGFでは切断群の表皮で陽性細胞数の低下を認めたが有意差は認めなかった。これらによりTRPV1, P2X3、NGFは知覚脱失皮膚で発現することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顕微鏡が使えないなどで、方法の変更が生じたが動物実験についてはおおむね順調に進行した。有意差のある結果は少なかったが、傾向はつかめた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はケラチノサイト・神経細胞共培養モデルの確立とTRPV1, P2X3の定量、共培養モデルにおける接触・非接触によるNGF, brain-derived neurotrophic growth factor(BDNF), neurotrophin-3, neurotrophin-4などの定量を行う。
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Causes of Carryover |
購入予定であったレーザー血流計本体が学内で既に購入されたものを共用できることになり、若干余裕が生じた。しかし培養用品の購入がかさみ、血流計本体分ほどの余剰は生じていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養に関する物品に当初予定以上に経費がかかり、前年度の余剰はなくなる予定である。
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