2018 Fiscal Year Annual Research Report
Social adaptation of post-operative cleft lip and cleft palate patients with overseas medical assistance in developing countries
Project/Area Number |
15K10950
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉本 信也 昭和大学, 医学部, 客員教授 (90220748)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発展途上国 / 口唇口蓋裂 / アンケート調査 / 手術 / 社会適応 / 手術時期 / ケロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
調査期間中に、アンケートに回答が得られた214例中、不適切と思われる24例(口唇口蓋裂以外の口唇部の疾患)を除いた190名の口唇口蓋裂患者について分析を行った。裂の型は、口唇裂単独:53例、口唇口蓋裂:97例、口蓋裂単独:40例であった。 1.年齢的に何歳までに手術をすれば社会適応しやすいか?:言葉に関しては、一般的に2歳以下での口蓋の手術であれば、約半数では言語治療なく良好な言語が得られると言われている。今回の調査では、口唇口蓋裂患者で言葉の判定が可能な68名中、第三者が聴いて言葉が完全に理解できる者は13名で、このうち、2歳以下で口蓋形成術を行った者が10名であった。この結果から、口蓋の手術は3歳未満で行うのが良いと考えられた。 2.患者は術後どの程度社会に適応できているのか?:社会適応には、口唇の傷よりも言葉の問題が大きかった。特に口蓋裂のある患者では、殆どが言葉の問題で適応が困難であった。何回も聞き返されるのが厭で質問をしなくなった、言葉が通じにくいので希望の職種を変更せざるを得ない、等やこれに類する回答が多かった。 3.社会適応を阻む要因は何か?:口蓋の手術をした後も言葉が分かりにくいということが最大の問題で、これは、手術年齢が遅い、栄養状態不良のため術後に口蓋瘻孔が残りやすい、言語聴覚士がいない等が大きな理由と考えられる。これにより、2-3歳の患児では,口唇よりも口蓋の手術を先に行う、国民の栄養状態の改善や言語聴覚士の育成等が望まれる。 4.人種によるケロイドの発生率はどうか?:ケロイドの発生は、一般に、黒人に多く白人には少ない。黄色人種ではその中間である。ネパールでは、肌の色が黒から白い人種まで様々である。今回の調査では、ケロイドの発生率は日本人と同程度と考えられ、我々の予測を下回っていた。 データの分析等に時間を要したため、論文発表、雑誌投稿は今後予定している。
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