2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10953
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90385394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 正恵 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00241068)
菊田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10367089)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンパ節移植 / リンパ管新生 / podoplanin / 間質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、機能的リンパ管とリンパ節の再生の機序を明らかにすることを目的として、①移植リンパ節の形態学的解析、②創傷モデルを用いたリンパ管マーカー陽性細胞の形態・機能解析、の二つのモデルを用いて研究を進める。 ①:以前の研究で移植リンパ節は移植後4週間目でリンパ管が開通する事が分かっている。そこで、リンパ管新生を起こす種々の因子の発現をreal time PCR法を用いて定量化した。その結果、リンパ管内皮細胞増殖因子の発現が移植後3週目まで有意に高かった。また以前の研究で移植リンパ節は移植後4週目で矮小化してしまうが、7週目までに正常なリンパ節とほぼ同じ大きさになることが分かっていた。そこで移植後7週目のリンパ節の構造がどのようになっているのかを免疫組織化学的に検索した。その結果、移植後7週目では正常リンパ節と比較して細胞の住み分けが乱れていた。さらに移植後6ヶ月の移植リンパ節をを観察したところ、大きさ、細胞の住み分け共に正常リンパ節と差異は確認できなかった。 ②:現在までに創傷部にリンパ管マーカーの1つであるpodoplaninを発現した間質細胞が多数出現することが分かっている。そこで多重免疫染色法を用いてpodoplanin陽性細胞がどのような性質を持っているのかを検索した。その結果、podoplanin陽性細胞はケモカインを発現していることが分かった。また、podoplanin陽性細胞の周囲にCD68陽性細胞が多数集まっていることも分かった。さらにreal time PCR法によってpodoplaninとケモカインの発現量を定量したところ、どちらも受傷後1日目に最も発現が高くなり受傷後3日目には有意差はほとんど無かった。以上の結果よりpodoplanin陽性細胞はケモカインを発現することでCD68陽性細胞を呼び寄せる役割を担っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①移植リンパ節の形態学的解析:移植リンパ節を多重免疫染色した結果、T細胞、B細胞及び細網細胞の分布が経時的に変化することが明らかになった。また、発現因子をPCR法により検討した結果、幾つかの因子において有意に差があることが分かった。 ②創傷モデルを用いたリンパ管マーカー陽性細胞の形態・機能解析:PCR法を用いた発現因子の解析を行い、幾つかの因子が有意に差があることが分かった。また、podoplanin陽性細胞周囲に集まる細胞の一部を明らかにすることができた。 以上の結果より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①移植リンパ節の形態学的解析 移植リンパ節の細胞動態を観察するため、GFPマウスから摘出したリンパ節を正常マウスに移植し、移植リンパ節内の細胞がどのように変化していくのかを観察する。また、必要に応じてリンパ節欠損マウス(Aly/Aly)の導入も検討する。さらに移植リンパ節の超微構造を解析するために電子顕微鏡観察も行う。 ②創傷モデルを用いたリンパ管マーカー陽性細胞の形態・機能解析 受傷後に発現するpodoplaninの機能を調査するために、創傷作製後、抗podoplanin抗体を投与してpodoplaninの抑制を試みる。その後、podoplaninと種々の発現因子との相関を調査する。 また、以上の結果をまとめて論文投稿の準備をする。
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Causes of Carryover |
当初想定していたよりも順調に成果を出すことが出来たため、購入物品を最小限に抑えることが出来た。また、本年度は成果発表予定の国際学会などの開催時期が、職務の都合とあわなかったため参加を見送った。以上の理由で次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は実験動物の購入及び飼育費用と、各モデル動物を作製するのに必要となる試薬類、消耗品などの購入に使用する。 また、得られた結果を公表するために、国内外問わず学会に参加するための費用として使用する。さらに、研究成果の一部を学術誌に発表する予定で、その費用(英文校閲費、投稿費など)にも割り当てる。
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Research Products
(2 results)