2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10953
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90385394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 正恵 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00241068)
菊田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10367089)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | podoplanin / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、機能的リンパ管とリンパ節の再生機序を明らかにする事を目的として、①移植リンパ節の形態学的解析、②創傷モデルを用いたリンパ管マーカー陽性細胞の形態・機能解析、の2つのモデルを用いて研究を進めている。本年度は主に②のモデルに関して重点的に進展させた。 現在までに創傷部位にリンパ管マーカーの1つであるpodoplaninを発現する細胞が現れ、これらの細胞が種々のケモカインを発現する事で様々な炎症性の細胞を呼び寄せる事を示唆するデータを得ていた。そこで本年度はまず、podoplanin陽性細胞の正体を突き止めるために種々のマーカー分子に対する抗体を用いた多重免疫染色を行った。その結果、podoplanin陽性細胞の多くは線維芽細胞様の細胞である事が分かった。さらにpodoplanin分子が持つ血小板結合領域を特異的に認識する抗podoplanin抗体を用いてpodoplaninの機能抑制を試みた。先ず抗podoplanin抗体の投与量及び投与時期を検討した結果、中和抗体を受傷直後に投与する事で最も効率が良いことが分かった。次に抗podoplanin抗体の動態を調査した結果、創傷部に投与した抗podoplanin抗体が到達していることが確認出来た。そこで創傷部でのケモカインの発現量をreal-time RT-PCR法を用いて定量したところ、抗podoplanin抗体投与群はコントロールと比較してCCL2の発現量が有意に減少していた。さらに、創傷部に集まる炎症性細胞のうちCD68陽性細胞数も抗podoplanin抗体投与群の方が有意に減少していた。以上の結果から、podoplanin分子が炎症性の細胞、特にCD68陽性細胞の遊走に関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①GFP動物を用いて移植リンパ節へ流入する細胞動態を追跡する予定であったが、遺伝子組換え動物の飼育スペースの問題などで本年度は見送った。 ②上記の理由から創傷モデルの解析に重点を置き、中和抗体を用いた機能阻害実験を試み、幾つかの因子について有意な差を得ることが出来た。このことからpodoplanin分子の役割の一端を明らかにすることができた。 以上の事から、①に関してやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①移植リンパ節の形態学的解析 移植リンパ節の細胞動態を観察するため、GFPマウスから摘出したリンパ節を正常マウスに移植して、移植リンパ節内の変化を観察する。また、移植リンパ節を種々のマーカーで免疫染色することで、リンパ洞を始めとした移植リンパ節の構造が保たれているかを確認して、論文投稿の準備を行う。 ②創傷モデルを用いたリンパ管マーカー陽性細胞の形態・機能解析 受傷後に発現するpodoplanin陽性細胞の正体をより正確に把握するために、未分化細胞マーカーなどについても多重免疫染色を行い調査する。また、podoplaninの機能をより詳細に調査するために、マウス新生児より線維芽細胞を分離培養し、podoplaninの発現条件を検討する。発現条件がを特定後、さらにpodoplaninの細胞内シグナルがどの様な経路をたどるのかを追跡する。以上の結果の一部をまとめて論文投稿の準備を行う。
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Causes of Carryover |
本年度、飼育環境の理由から遺伝子組換えマウスの購入・実験を次年度に先延ばしした。また、本年度は発表予定であった国際学会が職務日程の都合上参加できず、旅費を殆ど使用しなかった。以上の理由で次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子組換えマウスや新たな試薬の購入費として使用する。また、9月に行われる国際学会にて発表するための旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)