2015 Fiscal Year Research-status Report
脱分化脂肪細胞(DFAT)を導入した次世代型人工皮膚の開発
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15K10954
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 准教授 (00246589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫村 勉 日本大学, 医学部, 助教 (20570740)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
仲沢 弘明 日本大学, 医学部, 教授 (60180270)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脱分化脂肪細胞 / 同種移植 / 血管新生 / 人工真皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はラットを用いた同種DFAT(dedifferentiated fat cells)の効果について検討した。SD系ラット腹腔内脂肪より天井培養によりDFATを調整し凍結保存した。同種異系ラットであるWister系ラット背部に1X1cm大の全層皮膚欠損創を作製し、人工真皮(Pelnac、標準タイプ、グンゼ社製)を移植するモデルを用いて実験を行った。予め調整凍結保存しておいた同種異系DFATを解凍し、上記モデルの移植床にDFAT(500,000 cell)を 投与した。術後3日目と7日目に標本を採取して組織学的に検討した。また、臨床で既に使用されている細胞増殖因子製剤であるbFGF製剤との比較も同時に行った。その結果、DFAT単独投与でbFGF製剤と同等の血管新生促進効果が認められた。しかしながら、自家DFATで観られたような、bFGFとの併用投与時の著明な効果促進は観られなかった。自家DFATではbFGFと併用すると、その相互作用により血管新生、真皮様組織構築が著明に促進されたが、同種DFATではそのような効果は観られず、単独投与でbFGFと同等の効果が観られた。自家DFATは血管内皮細胞に分化することで血管新生効果に寄与していると推測されるが、bFGFとの相互作用機序についての詳細は今後の検討課題である。同種DFATによる治療効果は。それ自体が移植床で増殖し他細胞に分化するよりも、細胞から何らかの液生因子を産生放出してparacrineに効果発現しているものと推測された。この研究成果は第24回日本形成外科学会基礎学術腫集会(2015年10月、岩手)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、免疫不全ミニブタに対してヒトDFATを移植する実験を行い、ヒトDFATでも同様の効果が得られることの検討を行う計画であった。しかしながら、免疫不全ミニブタの入手が困難であり、またヒトDFAT細胞を実験に用いることの倫理的課題解決の糸口が見いだせなかった。更に経済的にも今回の研究費では賄えないことが判明したので、ラット間での同種移植モデルを用いて同種異系間移植の効果を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、大動物を用いた移植実験を家畜ブタを用いて行う予定である。平成28年度はGreen型ブタ培養表皮移植実験によりDFATの培養表皮生着促進効果の検証および人工真皮と分層皮膚の同時移植実験により人工真皮と分層皮膚の同時移植の可能性の検証を行う予定である。これらの実験によるデータを蓄積してヒトへの臨床応用実験への基礎とする計画である。
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Causes of Carryover |
概ね予定通りに使用したが、端数の127円が次年度繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究に使用する物品費に計上する予定である。
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Research Products
(4 results)