2016 Fiscal Year Research-status Report
脱分化脂肪細胞(DFAT)を導入した次世代型人工皮膚の開発
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15K10954
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 准教授 (00246589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫村 勉 日本大学, 医学部, 助教 (20570740)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
仲沢 弘明 日本大学, 医学部, 教授 (60180270)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脱分化脂肪細胞 / 培養表皮移植 / 人工真皮 / 基底膜構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床において重症熱傷患者の培養表皮移植による治療を行う際、現状では培養表皮の作成に3-4週間を要する。真皮成分の欠損した全層皮膚欠損創には培養表皮の生着率が著しく不良なので、培養表皮作成のための待機期間に人工真皮を用いて真皮構築をするが、DFATの調整にも2週間を要するので人工真皮移植時に自家DFATを移植するためには受傷から2週間の待機を要してしまう。そこで、培養表皮作成とDFAT調整を同時進行で行い、培養表皮移植時にDFATを投与しても同等の効果が得ることができるかについて検討するために、平成28年度は家畜ブタを用いて自家培養表皮移植実験を行った。まず、ブタの頸部皮膚と皮下脂肪よりGreen型自家培養表皮およびDFATを作成した。同一ブタの背部に全層皮膚欠損創を作成し、人工真皮を用いて真皮構築手術を行い、術後10日目に構築された真皮様組織上に自家培養表皮を移植した。人工真皮移植のみの対照群、DFATを真皮移植時に移植床に投与する群および自家培養表皮移植時に構築された真皮様組織上に投与する群について比較した。培養表皮移植後14日目に組織採取を行い組織学的検索を行った。透過電子顕微鏡像では、対照群では表皮真皮接着層における基底膜構築は不完全でanchorinl fibrilの形成が観られなかったが、他の2群では基底膜構築の促進、anchoring fibrilの形成が観られた。基底膜の主要な構成成分であるcollagen IVは各群間で明らかな差が無かったlaminin-5は対照群では発現がわずかであったが、DFAT治療群では明らかに陽性発現していた。その程度は人工真皮移植時に投与した群の方がより強く発現していた。今年度の実験結果より、DFATは人工真皮移植時に投与する方がより有効であるが、培養表皮移植時に投与しても基底膜構築促進効果を発揮することが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型動物を用いて、臨床での使用を前提とした培養表皮移植実験を行った。また、臨床での熱傷患者治療により有用な使用法を検討するために、培養表皮移植時にDFATを投与するモデルでの実験を行い有用な知見を得ることができた。今年度は分層皮膚と人工真皮の同時移植実験は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
家畜ブタを用いた自家培養表皮移植実験を来年度も継続して行い、nを増やして科学的データを採集する予定である。また、分層皮膚と人工真皮の同時移植実験も行い、広範囲重症熱傷患者の治療でのDFATの有用性に関するデータを蓄積して臨床応用のための基礎データとする計画である。
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Causes of Carryover |
旅費として国際学会への出張旅費も含めて40万円を計上していたが平成28年度は国内学会のみに参加したので旅費が計上額より低くなってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年4月に台湾で行われる国際熱傷学会で成果報告を行う際の旅費に用いる。また、培養表皮作成の業務委託を株)ジャパン・ティシュ・エンジニアリングに行う予定である。また、英文論文による成果報告を行う予定であり、英文査読にも研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)