2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10956
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
楠本 健司 関西医科大学, 医学部, 教授 (20161630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 尚樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40378641)
覚道 奈津子 関西医科大学, 医学部, 講師 (00509490)
光井 俊人 関西医科大学, 医学部, 助教 (40449830) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多血小板血漿 / 無細胞 / 再生医療 / 潰瘍 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
多血小板血漿(Platelet-rich plasma; PRP)は、血小板を濃縮した血漿液であるが、PRP療法として治療に応用する原理は、血小板が活性化されてα顆粒に内包される多種多量の細胞増殖因子(サイトカイン)、例えばPDGF, VEGF, TGF-β、EGF、bFGFなどであるが、これらのサイトカインが局所の細胞や組織に作用して、細胞増殖や組織再生が得られる治療である。つまり、サイトカインが主役であり、血小板や赤血球、白血球は治療に必須ではない。むしろ通常のPRPの調製では、これらの血球成分を常に含むため「細胞治療(cell therapy)」と見なされ、再生医療等安全性確保法の対象となっている。 今年度は、昨年検討を始めたトレビーノフィルターでのPRP濾過を検討し、さらに効率的なサイトカイン抽出が可能かを検討した。トレビーノフィルターは、0.1ミクロンの超微細な孔が開いた多層構造中空糸フィルターである。この直径であると大腸菌やクリプトスポリジウム原虫より小さく、鉄錆や一般細菌、原虫類などミクロレベルの汚染を排除でき、生体への応用が理想的となる。この実際的検討を行った。 実際的には、トレビーノフィルターでの従来法のPRP調製法を適用すると、高度にゲル化を生じる。このことは高濃度のサイトカインを包含する活性化PRPを調製したことを示すが、フィルター通過が容易に進まないと調製法としては汎用性に難しい問題となる。この点での問題解決を要し、現在のトレビーノフィルター以外のフィルターの検討、活性化に伴うゲル化の検討を行う必要がある。次年度へのテーマとして情報を収集して、検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィルター実験を開始した。無細胞多血小板血漿の調製に0.1ミクロン径の孔を持つトレビーノフィルターを用いて種々の活性化条件で無細胞PRP調製を行った。各種のPRPを調製してこのフィルターを通したが、活性化によるゲル化を生じるが、この高度の粘稠性によって目詰まりして抽出作業が滞ることがしばしば生じた。特に活性化による強いゲル化を生じた場合に頻度が高かった。 これに対しての改善策として、多種のフィルターでの検討を試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
PRPが活性化されてゲル化することは、サイトカイン放出と保持に有意義かつ有効なことであるが、一方高度に粘稠なゲルによる目詰まりによって抽出が難しいことは、実際面でPRPを使えないことを意味する。各種条件設定を行い、多種のフィルターの検討、ゲル化の検討を行うことで最適な無細胞PRP調製を可能とすることが出来ると考えるため、この大きな2点の条件設定を種々組み合わせた検討を進めることとする。
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Causes of Carryover |
当初計画したトレビーノフィルターでの無細胞化を進めてきたが、高度のゲル化による粘稠性によって抽出、調製が難しい実情が出てきた。これに従い、多種のフィルターでの検討をすること、ゲル化自体を種々の条件の組み合わせを設定して検討することとし、当初の計画通りのトレビーノフィルターでの無細胞状態のPRP調製の検討に入ることが出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
問題点の回避策として、多種フィルターでの検討、ゲル化自体の検討を種々の条件設定で行うことで、無細胞PRPの調製は可能であると考えられることから、次年度にこの方針で進み、その検証を行うことを考えている。
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Research Products
(17 results)