2016 Fiscal Year Research-status Report
外傷急性期凝固障害における血管内皮細胞上の抗血栓能の変化に関する研究
Project/Area Number |
15K10964
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 峰司 北海道大学, 大学病院, 助教 (10374282)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 外傷 / 凝固 / 播種性血管内凝固症候群 / 止血 / トロンボモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷急性期の凝固障害の病態に関する様々な知見が提示されている。欧米からは、外傷急性期の凝固障害を内因性の抗凝固物質による“自己抗凝固”ととらえる説が声高々に主張されている。しかし、この仮説は、我々が発信してきた病態(線溶亢進型Disseminated intravascular coagulation (DIC))と大きく異なる。 H28年度は、ドラムショックモデルで、ドラムの回転数を250回、500回、1000回と変化させ、異なる重症度の外傷モデルを作成し採血を行い、その、凝固活性化の状況を比較検討した。その、主な結果としては、①外傷の重症度が上昇するに伴い、組織損傷の度合いが重症化する、②組織損傷が重症化に比例して、外傷直後に凝固活性化物質であるマイクロパーティクルとヒストンの上昇が認められる、③放出されたマイクロパーティクルは組織因子活性を有する、④マイクロパーティクルとヒストンの放出量は、強い相関を認めるわけではない⑤マイクロパーティクルとヒストンの上昇をみとめる検体では、非刺激状態によるトロンビンの産生亢進をトロンビン生成試験においてみとめる、⑥外傷直後にはプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI)の上昇は認めず経時的に増加してくることが明らかになった。 以上より、外傷直後には障害組織から凝固活性化因子であるマイクロパーティクルやヒストンが放出されトロンビンの産生亢進を引き起こしていることが明らかになった。 また、外傷初期には、PAIによる線溶抑制は生じておらず、線溶抑制の発症には数時間を要することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた血小板内のPAIの動態については未確認である。 外傷刺激後、数時間経過後にPAIの血漿中濃度の上昇は確認できている。このPAIの上昇が血小板由来なのか、血管内皮細胞由来なのかが明確化されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
検討手法および条件は設定が終了している。 順次、PAI上昇の由来細胞(血小板由来or血管内皮細胞由来)についての実験を進める
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[Journal Article] Antithrombin Supplementation and Mortality in Sepsis-Induced Disseminated Intravascular Coagulation: A Multicenter Retrospective Observational Study.2016
Author(s)
Hayakawa M, Kudo D, Saito S, Uchino S, Yamakawa K, Iizuka Y, Sanui M, Takimoto K, Mayumi T, Ono K, Azuhata T, Ito F, Yoshihiro S, Hayakawa K, Nakashima T, Ogura T, Noda E, Nakamura Y, Sekine R, Yoshikawa Y, Sekino M, Ueno K, Okuda Y, Watanabe M, Tampo A, Saito N, 他20名
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Journal Title
Shock
Volume: 46
Pages: 623-631
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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