2016 Fiscal Year Research-status Report
急性肺損傷に関わるスフィンゴ脂質シグナリングの解明と新規治療戦略
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15K10970
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
岡本 安雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80293877)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スフィンゴシン1-リン酸 / 急性肺損傷 / 血管バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
①リポポリサッカライド(LPS)腹腔内投与による急性肺損傷モデルの他に、盲腸結紮穿刺モデルの検討を行ったが、モデルを確立できなかったため、あらたに抗がん剤ブレオマイシンの腹腔内投与による急性肺損傷について検討した。野生型マウスに35 mg/kg体重のブレオマイシンを,週2回マウスに腹腔内投与することにより,投与後5日目から10日目に肺血管透過性を伴う急性間質性肺炎の発症を肺のエバンスブルー漏出と組織染色により確認した。以上の結果から、急性肺損傷の解析においてブレオマイシンの腹腔内反復投与は有効なモデルであると考えられた。 ②予備実験として、S1P2受容体選択的アゴニストの特異性を、S1P受容体安定発現CHO細胞株を用い、ERKのリン酸化を指標として検討した。S1P2受容体選択的アゴニストによるERKのリン酸化はS1P2受容体以外のS1P受容体安定発現細胞株では認められず、S1P2受容体以外のS1P受容体阻害剤により抑制されなかった。しかし、S1PによるERKのリン酸化と比べて、Vmaxが約1/4と低く、EC50が約100倍高い値を示した。以上の結果から、S1P2受容体選択的アゴニストはS1Pと比べてアゴニスト活性は弱いが、S1P2受容体に対する選択性は高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間中に所属組織を異動した関係で、当該年度の実験に必要となる遺伝子改変マウスを確保することができなかったため、当初の研究計画で予定していた実験の一部が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に必要となる遺伝子改変マウスの確保が困難であるため、次年度は遺伝子改変マウスを用いた実験からS1P2受容体阻害剤、S1P2受容体選択的アゴニストあるいはNO合成酵素阻害剤などを投与したマウスを用いた実験に変更する。LPSあるいはブレオマイシン腹腔内投与による急性肺損傷モデルを作成し、急性肺損傷におけるS1P2受容体やNO合成酵素の役割を検討する。また、骨髄移植実験は中止し、マウスより単離した細胞を用いる実験は細胞株を用いる実験に変更する。今後、状況に応じて研究計画、研究期間や方略を微調整しながら、成果発表につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究期間中に所属組織を異動した関係で、当該年度の実験に必要となる遺伝子改変マウスを確保することができなかったため、当初の研究計画で予定していた実験の一部が遅れ、年度内完了が困難となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子改変マウスを用いた実験から受容体阻害薬、作動薬などの薬物投与マウスを用いた実験に変更するため、またLPSに加えブレオマイシン反復投与による急性肺損傷モデルを用いるため、必要な薬物・動物の購入費に充てる。
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Research Products
(6 results)