2015 Fiscal Year Research-status Report
重症患者の睡眠評価を通じての炎症-せん妄-睡眠の連関
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15K10981
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鶴田 良介 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30263768)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ICU / 睡眠脳波 / 重症疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工呼吸器で呼吸管理している患者の不安・苦痛を取り除き,安寧のうちに治療が行われることは重要であるが,深すぎる鎮静は患者にさまざまな弊害をもたらす.米国とわが国の重症患者への鎮静ガイドラインでは,ともにできる限り浅い鎮静法を推奨している.理由は,人工呼吸器関連肺炎,せん妄の発症率を減らし,人工呼吸器からの離脱を促進し,ICU滞在日数を減らすためである.鎮静の深度は妥当性と信頼性が検証された鎮静スケールを使用し,決定することが推奨されている.しかしながら,鎮静スケールは患者の意識や鎮静の状態を評価できても睡眠の量と質の変化をとらえることはできない.また,これまで重症患者の睡眠の評価についてはあまり研究されてこなかった.ICUで鎮痛・鎮静・せん妄の評価をルーチンで行うことが普及してきている一方で,昼夜逆転している患者,午前中に夜間の催眠(鎮静)薬が遷延している患者がいるのも事実である.というのも我々は,患者が良質な睡眠を獲得しているのか知る手段がないからである. 最近,脳波の周波数解析(パワースペクトラム)によるICU患者の睡眠解析法が紹介された.1チャンネル脳波で睡眠の深度を決定する新規の方法で,ICU Depth Of Sleep (IDOS)と命名された.このIDOSとは異なるが,alpha:α(8~12Hz),delta:δ(1~4Hz),sigma:σ(10~16Hz),beta:β(16~25Hz)波の周波数域の解析から簡便に覚醒,深睡眠,浅睡眠,REM睡眠と分類する手法を取り入れ,これまで研究してきたICUでの鎮静・せん妄の実績から睡眠-せん妄-炎症の関連を探索的に追究する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先進救急医療センターに入室し,5日以上の在室が見込まれる成人患者を対象とし,患者あるいは代諾者から書面で同意を取得し,24時間1チャンネル脳波を記録する.臨床研究審査委員会(Institutional Review Board, IRB)での承認も得られた. 1チャンネル脳波測定の装置(脳波センサZA,プロアシスト)を新たに購入した.これらに,睡眠解析ソフトウェア(キッセイコムテック),脳波データ変換ソフトウェア(キッセイコムテック),ノートPCを新たに購入し,比較的安定した比較的軽症患者でデータを集積中である.
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Strategy for Future Research Activity |
1チャンネル脳波測定で20~30人前後の比較的軽症患者のデータを解析し,ICUでの睡眠脳波の標準(基準)を定める.その後,炎症のある患者または鎮静薬の投与中の患者で睡眠脳波の特徴を分析する. 睡眠概日リズム(周期)が失われているかどうかの判断に膀胱温を用いて睡眠脳波の解析の補助としたい.
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Causes of Carryover |
購入した物品が予定より低額で購入できたため未使用額939円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度分と合わせて消耗品購入にあてる予定である。
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