2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10983
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小田 泰崇 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40397998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 崇 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40380000)
藤田 基 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50380001)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱中症 / 酸化ストレス / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
健常ラットの脳に水素電極を植え込み、2%水素を吸入させると、電流値は上昇し約20分でほぼ定常となることを確認した。吸入を中止すると約5分で基線まで減少した。一方、水素水については静脈投与を行う毎に上昇を認め、投与を繰り返すことで徐々に上昇したが、水素ガス吸入と比較するとわずかな上昇であった。 ラット熱中症モデルを用いた水素の効果の検討では、熱中症群(リンゲル液、n=7)、水素ガス吸入群(2%水素ガス吸入+リンゲル液、n=7)、水素水低容量群(水素加リンゲル液27mL/kg、n=7)、水素水高容量群(水素加リンゲル液37mL/kg、n=5)に分け、発症1時間後の血清酸化ストレスマーカーおよび炎症マーカーを測定して効果判定を行った。熱中症は、白熱灯および加温パッドを用いて40℃まで加温し、平均血圧が10mmHg低下した時点を熱中症の発症とした。各群直腸温度は40℃で1時間維持した。水素吸入群は熱中症発症後2%水素を吸入させた。水素水(1.6ppm)群は、熱中症発症直後17mL/kgの水素水を静脈投与し、その後低容量群は10mL/kgの水素水を10分毎に5回に分割投与、高容量群は20mL/kgの水素水を5分毎に10 回に分割投与した。水素ガス吸入群および水素水投与群のMDA、sICAM1、HMGB1は、熱中症群と比較して低値の傾向にあったが、水素水低容量群のsICAM1を除いて有意差は認めなかった。また、水素水低容量群と高容量群ではその効果に差は認めなかった。このパイロット試験から、水素水低容量群に絞ってn数を増やし、24時間後の転帰(生存率)を比較するため、直腸温を37℃に維持したSham群(n=7)、熱中症群(リンゲル液、n=15)、水素水群(水素加リンゲル液27mL/kg、n=15)の3群の実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水素ガス吸入群および水素水投与群のMDA、sICAM1、HMGB1は、熱中症群と比較して低値の傾向にあった。また、24時間後の生存率は、熱中症群(リンゲル液)と比較して水素水投与群(水素加リンゲル液)で明らかに上昇傾向にあったことから、水素治療の効果を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きラット熱中症モデルを用いた水素水の臓器保護効果の検討を行い、定量的判定を行う。また、低体温療法を併用することで相加的な臓器保護効果を有するか、さらに水素療法と低体温療法の併用療法が、therapeutic time windowを延長するか検討する予定である。低体温は心停止後症候群に対する治療に準じて、33℃で120分間維持し、1℃/hrで4時間かけて復温する。
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Causes of Carryover |
当該助成金はほぼ使い切っているが、端数が残存したものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品(試薬・キット類、抗体)の購入ならびに実験動物(ラット)の購入に充てる。
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