2016 Fiscal Year Research-status Report
自動圧迫装置により測定した定量化毛細血管再充満時間によるショックの予測
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15K10989
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
森村 尚登 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (20239685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 隆久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (00256075)
坂本 哲也 帝京大学, 医学部, 教授 (40365979)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モニタリング / 解析・評価 / 救命 |
Outline of Annual Research Achievements |
至適圧迫圧を設定した自動指尖圧迫装置(APD)を用いて、初期・二次救急症例を対象に研究を実施した。【目的】指尖圧迫前後の吸光度変化(ΔAb)と静脈血乳酸値の関係について解析する。【方法】対象は、本学医学部附属病院救急部で血液検査を実施した139例の内因性疾患。研究デザインは前向き観察研究。測定項目は、年齢、性別、ICD10による疾患分類、来院時の以下の項目(体温、収縮期血圧、心拍数、呼吸数、SpO2、Hb、WBC、Alb、尿素窒素、Cr、CRP、Na、K、Cl、ΔAb)。静脈血乳酸値<2mmol/L群と≧2mmol/L群の2群間で測定項目を比較した。【結果】<2mmol/L群94例、≧2mmol/L群45例。単変量解析において≧2mmol/L群は<2mmol/L群に比較して、有意にΔAb値が低かった(p < 0.001)。多変量ロジスティック回帰分析において、ΔAbのオッズ比は0.16(95%CI:0.05 - 0.45, p = 0.001)であった。多変量解析の結果からΔAbは静脈血乳酸値の異常の有無を説明できる独立因子であることがわかり、カットオフ値は0.0342で、その際の静脈血乳酸値の異常を予測する感度は64%、特異度75%、尤度比2.42、ROC曲線によるAUC(95%信頼区間)は0.69 (0.60 - 0.76)であった。【考察】救急外来での簡便なショック予測に有用であり、比較的特異度が高いことから、高乳酸血症の診断に優れた指標であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集中治療室や手術室症例における同一症例への継時的計測データが得られていないので、今年度集積予定である。また、新たに作成予定の予測式の精度を他の症例にあてはめて昨年度内に実施できなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今回得られたカットオフ値を基に、異なる救急外来の母集団に対して前向き症例集積研究を実施し、カットオフ値の精度を検証する。この際、年齢や病態、あるいは血液検査データなどによる補正を行い、最終的には定性的な予測ではなく、定量予測、すなわち乳酸値の予測式作成について検討する。また、病態別に同一症例において経時的な検討を加える予定である。集中治療室や蘇生室においては動脈血の乳酸値をエンドポイントとして「診断能力が高い」すなわち特異度が高い予測式を作成し非侵襲的モニタリングを目指し、救急外来では静脈血の乳酸値をエンドポイントにして、「スクリーニング精度が高い」すなわち感度が高い予測式を作成し、採血の必要性判断の指標とする予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画では、海外学会参加、論文発表などに係る諸経費に使用する予定であったが、世界情勢などの影響から海外学会参加を控えたことや論文化できていないことによって、平成28年度は人件費のみの支出となったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会報告、論文作成に係る諸経費、計測に係る記録媒体、参考資料取得などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)