2015 Fiscal Year Research-status Report
IL-15と類似した低分子化合物の探索と高齢者敗血症治療への応用
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15K10994
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
井上 茂亮 東海大学, 医学部, 准教授 (30582209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 令明 東海大学, 糖鎖科学研究所, 教授 (70238393)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 老化 / 免疫 / 敗血症 / IL-15 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1 IL-15受容体に結合する低分子化合物のin silico探索と結合能の評価 IL-15受容体はα、β及びγサブユニットから構成され、IL-15はαサブユニットに直接結合することでその作用を発現する。IL-15とαサブユニットの複合体のX線解析は既に報告されている(PDB ID:2PSM、2Z3Qなど)。本研究では、主にこれらの複合体立体構造に基づき、IL-15受容体のアゴニストになり得る低分子化合物をin silico探索した。 全ての計算は統合計算化学システムMOEを用いて行った。化合物探索に用いた化合物データベースは、Sigmaの化合物カタログに掲載されている化合物群(195,048)とCCG(Chemical Computing Group, Montreal, Canada)から供給されている医薬分子に適する化学構造を持った化合物群(458,166)である。合計653,214化合物を第一段階の探索化合物空間とした。これらの化合物の中から、医薬分子になり得る性質を持った化合物を選択するために、現在国内で使用されている医薬分子と活性代謝物合計1,487化合物の80%以上に共通に見られる「医薬分子らしさ」指数を2次元構造記述子により表現し、このフィルターを98%以上満足する合計27,959化合物を抽出した。その内、結合部位の性質を充分に表現する(75%以上)化合物6,668種を抽出した。 この6,668化合物をIn silicoにてIL-15受容体部位にドッキングさせ、その親和性の強さを求めた。その結果、親和性の強い上位50化合物をリストアップし、ヒット化合物とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画は、IL-15受容体に結合する低分子化合物のin silico探索と結合能の評価であり、共同研究者の平山らにより、6,668化合物からIn silicoにてIL-15受容体と親和性の強い上位50化合物をリストアップし、これらをヒット化合物とした。以上より、実験計画通りに進行していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2 高齢者由来T細胞に対する化合物Xの活性化および増殖効果判定(in vitro)(平成28年度) 実験2-1 化合物X添加による活性化およびサイトカイン産生能の評価 実験2-2 化合物Xと他のT細胞増殖/活性化因子の高齢者由来T細胞活性化効果の比較
研究3 高齢マウス敗血症モデルにおける化合物Xの効果判定 (平成29年度) 実験3-1 化合物X投与高齢マウス敗血症モデルの免疫機能解析(in vivo)実験3-2 化合物X添加によるサイトカイン産生能の評価(in vitro)実験3-3 化合物Xと他のT細胞増殖/活性化因子の老化T細胞賦活化効果の比較
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Causes of Carryover |
平成27年度の計画は、IL-15受容体に結合する低分子化合物のin silico探索と結合能の評価であり、共同研究者の平山らにより、6,668化合物からIn silicoにてIL-15受容体と親和性の強い上位50化合物をリストアップし、これらをヒット化合物とした。研究計画通りに進んでいるものの、この実験では特段消耗品を必要としなかった。その一方平成28年度以降の研究計画は相当な消耗品を要する見込みである。すなわち実験プロトコルを再考し、試薬・機器の購入を抑えたため平成28年度以降に予算を繰越たいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プラスチック器具、C57BL/6J老化マウス、フローサイトメトリー試薬、分子生物学的試薬、サイトカイン測定キット消耗品などの消耗品として使用する予定である。
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