2015 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス誘導蛋白質であるWDR35/naofen遺伝子の転写制御因子の同定
Project/Area Number |
15K10998
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
馮 国剛 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70351111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / プロモーター / 転写調節 / 転写因子Egr-1 / ブピバカイン / 過酸化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスのNeuro2a細胞においてブピバカインやH2O2が活性酸素(ROS)の産生を介してWDR35/naofen発現を増加させるが、その機序についてはほとんど不明である。本研究では、WDR35/naofen遺伝子のプロモーター領域を解析し、その転写を調節する因子を同定した。ルシフェラーゼアッセイを行った結果はWDR35/naofen遺伝子の翻訳開始点上流(-345~-37bp)に強いプロモーター活性を認められた。コンピューター解析した結果、WDR35/naofenのプロモーター領域に転写因子NF-κB、AP-2とEgr-1など結合部位の存在が予測した。転写因子の結合部位に変異を導入したコンストラクトを作製し、ルシフェラーゼアッセイを行い、予測したAP-2あるいはEgr-1の結合部位 (-49~-40bp)はWDR35/naofen遺伝子の発現に必須であることが明らかとなった。そこで、この結合部位を含む領域をプローブとしてNeuro2a細胞核蛋白質抽出液と反応させた結果はゲルシフトが起きた。標識しないプローブを過剰添加するコンペティション試験ではシフトしたバンドは消失し、結合部位に変異を入れたプローブの添加はゲルシフトに影響しなかった。さらに特異的なEgr-1抗体はシフトしたバンドを消失させることから、Egr-1がWDR35/naofenプロモーターに結合することが示唆された。Chip assayを行い、Neuro2a細胞内においてEgr-1 がWDR35/naofenのプロモーター領域に結合することを示唆した。最後に、Neuro2a細胞においてEgr-1の強制発現はWDR35/naofen発現を増加させることが示した。以上のことから、Neuro2a細胞においてEgr-1 がWDR35/naofenのプロモーター活性を制御していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.WDR35/naofen遺伝子のプロモーター領域の同定について WDR35/naofen遺伝子の上流に存在するプロモーター領域を組み込んだルシフェラーゼレポータープラスミドの作製し、ルシフェラーゼアッセイを行い、WDR35/naofen遺伝子プロモーターを同定した。さらに、予測した転写因子の結合部位に変異の導入によってプロモーター活性に対する影響を検討し、WDR35/naofen遺伝子発現に必須領域を解明したと同時に、基本転写因子の結合部位も同定できた。 2. WDR35/naofen遺伝子の転写を制御する転写因子について ゲルシフトアッセイを用いて、Neuro2a細胞から抽出した核蛋白質と結合するプロモーター領域を同定した。また、特異的なEgr-1抗体を用いて、WDR35/naofen遺伝子プロモーターにEgr-1の結合を証明した。さらに、Chip assayを行い、Neuro2a細胞内においてEgr-1 がWDR35/naofenのプロモーター領域に結合することを確認できた。 今、これらの結果をまとめ、論文を作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 酸化ストレスによって誘導した転写因子Egr-1の活性化とWDR35/naofen発現の変化との関連について検討する。マウスのNeuro2a細胞、ヒトのSH-SY5Y細胞においてH2O2やブピバカインあるいはレボプピバカインの投与はEgr-1の活性化とWDR35/naofenの発現に対する影響を調べる。Real-time PCRと western blot法を用いて、遺伝子レベルとタンパク質レベルでEgr-1の活性化とWDR35/naofenの発現変化を調べ、Egr-1の活性化を調べ、WDR35/naofen発現との相関性について検討する 2. Egr-1蛋白質発現の抑制あるいは増強はWDR35/naofenの発現増加に対する影響を解析する。上記の細胞を用いて、siRNAの導入によってEgr-1の発現をknock downしたり、哺乳動物細胞用発現ベクターを用いてEGR-1を強制発現することによって、WDR35/naofenの発現増加に対する影響を検討する。さらに細胞にブピバカインなど試薬の投与によって誘導した酸化ストレス状態においてEgr-1発現の抑制あるいは増加はWDR35/naofenの発現に対する影響を解析する。 3. 酸化ストレスによる細胞アポトーシスにおいてEgr-1あるいはWDR35/naofenの役割を調べる。ブピバカインなど試薬を投与した細胞においてEgr-1あるいはWDR35/naofen発現の抑制あるいは増加はアポトーシスに対する影響を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、論文の掲載が確定したが、冊子体でまた発行されないので、論文抜き刷りの購入費用として発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、論文抜き刷りの購入に使用する。
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Research Products
(3 results)