2015 Fiscal Year Research-status Report
赤血球機能からみた敗血症時の血管透過性亢進制御とその異常
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15K11000
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高須 修 久留米大学, 医学部, 准教授 (90236216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新山 修平 久留米大学, 医学部, 准教授 (40258455)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 敗血症 / 血管透過性亢進 / カドヘリン / 赤血球変形能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究初年度にあたり、まず①マウス(C57BL/雄)盲腸結紮穿孔(CLP)による敗血症モデルを作成した。本モデル作成にあたって、個体差および生存率が不安定となる要因を、①腹腔内脂肪による穿孔部の被覆閉鎖 および②盲腸虚血の程度 と考え、腹腔内脂肪切除+盲腸虚血を伴わないCLPモデルを作成した。 同モデルにおいて、1)重症度に応じた赤血球の生理学的異常を明らかにした。すなわち、穿孔の程度(使用する針18~26Gの相違)に応じて、CLP24~48時間後に、赤血球変形能の低下(ektacytometry techniques, RheoScanによる測定)が生じることを確認した。 さらに、2)敗血症時の血管透過性亢進に関する血管内皮障害の指標として、隣接する血管内皮間の接着装置障害を示唆する可溶性VE-カドヘリンの血中濃度が、侵襲度に伴い上昇することを確認した。③CLP48時間の時点で、赤血球変形能と血中可溶性VE-カドヘリン濃度との間に負の相関を認めることが判明した。 現在、各組織の血管内皮あるいは細胞間の接着装置tight junctionにおけるカドヘリン発現の変化を、免疫組織学的に検討するとともに、血管透過性亢進の程度の評価を行っている。 次年度においては、隣接する血管内皮間の接着装置カドヘリンの発現を調整する複数の因子、特に血中および赤血球中のスフィンゴシン1リン酸(S1P)の推移を検討することにより、赤血球の生理学的変化と赤血球のもつ血管透過性亢進調整機構の異常の有無との関係について検討を進める。敗血症時の制御困難な血管透過性亢進を調整、制御する方法について、赤血球の機能異常の側面から検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
盲腸結紮穿孔(CLP)モデルの作成において、重症度、生存率が一定せず、その要因を明らかにして、安定したモデルを作成するのに予定以上の時間を必要とした。 現在、安定したモデルが作成でき、やや計画が遅れているものの、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度に予定していた血中および赤血球中のスフィンゴシン1リン酸(S1P)、およびそのほかの調整因子の検討・測定を現在、開始したところである。 まず、作成したモデル上でのS1Pの推移を検討し、H28年度に計画していたS1Pの赤血球からの放出・運搬に関わる因子についての変動の検討を、計画通り行う予定である。
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