2016 Fiscal Year Research-status Report
赤血球機能からみた敗血症時の血管透過性亢進制御とその異常
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15K11000
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高須 修 久留米大学, 医学部, 教授 (90236216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新山 修平 久留米大学, 医学部, 准教授 (40258455)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 敗血症 / 盲腸結紮穿孔モデル / 血管透過性亢進 / バイオインピーダンス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、腹腔内脂肪切除を加えた、ばらつきの少ない改変CLPモデルを作成した。このモデルにおいて、生体バイオインピーダンス法(以下BIA法)を用いて、体液分布の時間的な推移を検討した。その結果、以下の事が明らかとなった。中等度CLPモデル(虚血あり, 21G針貫通法, 36時間後生存率約75%)において、血管外水分量(ECF%)のピークは36~48時間であり、生存例においては、48時間以降改善傾向となった。本モデルにおいて、BIA法上のCLP前(0h)ECF%は約45~46%で、36h後のECF%はsham群で約49%、CLP群で約56%前後であった。 さらに、透過性亢進の病態との関係を検討したところ、36hの時点において、BIA法におけるECF%変化率(36h-ECF%/0h-ECF%)と血中sVE-カドヘリン(血管透過性亢進に関する血管内皮障害マーカー)との間には正の相関がみられ、BIAにより血管透過性亢進状態の評価が可能と考えた。 現在、血中の可溶性VE-カドヘリン(sVE-カドヘリン)と、カドヘリンの正の調整因子であるAngiopoietin-1、スフィンゴシン1リン酸(S1-P)の推移について、さらにこれらの供給源である赤血球と血小板の数的・機能的変化との関係について検討をすすめている。これまでに、36h後の血小板数とAngiopoietin-1の血中濃度との間に相関関係、一方、赤血球変形能とsVE-カドヘリンとの間にも緩やかな相関がみられことが分かった。今後、赤血球と血小板が供給源となる正の調整因子S1-Pについて、血中および赤血球中のS1-P濃度の推移と、BIAからみた体液分布の異常との関係を解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、CLP作成36hの段階で、生存バイアスの考慮をほとんど必要としないモデルが作成され、このモデル上で、血管透過性亢進の評価、さらに透過性亢進に関わる障害マーカー(sVEカドヘリン)の態度、および細胞間接着の正の調整因子Ang-1の推移についてある程度解析が行えた。一方、CLP後の時間経過において、赤血球変形能が変動・低下することは測定上確認できたが、赤血球機能と赤血球のS1P貯留・放出能力についての検討が遅れている。 赤血球をある基準に基づいて層別化・分類採取する予定(変形能が異なる一群が分離採取可能と予測している)であるが、その準備に予定以上の時間を要した事、また、費用面を考慮すると頻回の測定が難しいため、ある程度の手法が固まった後、S1Pの測定を行う予定とした事が、計画が当初より遅れている理由である。現在、層別の分類・採取を試みている段階であり、手法を固めて再現性が確認でき次第、計画を早急に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、作成したCLPモデルにおいて、赤血球の機能的変化が経時的に生じていることは確認できている。今後、赤血球そのものをある基準に基づいて層別に分類・採取を行い、分類赤血球毎の赤血球変形能、赤血球中のS1P測定をすすめるとともに、血中のS1P減少との関係等について検討をすすめる予定である。 また、Angiopoietin-1、あるいはS1Pの豊富な濃縮血漿によって、血管透過性亢進の調整や組織学的な障害の抑制が可能かについて、BIA法による評価と組織学的な評価を通してすすめる予定である。
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