2017 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析を用いた破骨細胞分化抑制マウスにおける歯の萌出機序の解明
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15K11002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 恵 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20431512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30196191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DAP12 / FcRr / 破骨細胞分化 / 歯の萌出 / 大理石骨病 |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞分化に関与する分子の遺伝子が欠損したマウスでは、歯の萌出が起こらないことが知られている。しかし、破骨細胞分化に必須であるDAP12とFcRγの遺伝子欠損マウスでは歯の萌出が起こるとされている。そこで本研究計画では、DAP12とFcRγの遺伝子欠損マウスを用いて、萌出過程にある歯の周囲組織の遺伝子発現を網羅的に解析し、代償性に破骨細胞分化に関与する分子の同定を目指す。 今年度は、主に破骨細胞の有無・分布等を検索するために、TRAP染色を用いた検討を行った。その結果、野生型マウス・DAP12遺伝子欠損マウス・DAP12/FcRγの二重遺伝子欠損マウスについては、生後2・3週齢の下顎骨においてTRAP陽性細胞が確認された。数や分布に大きな差は見られず、歯根の伸長度合いにも差は認められなかった。一方、c-fos遺伝子欠損マウスにおいては、同週齢の下顎骨にTRAP陽性細胞は見られず、臼歯歯胚に歯根の伸長は認められなかった。今後、マイクロCT解析と並行してその他のタイムポイントにおけるTRAP陽性細胞について同様の検討を行う予定である。また、c-fos遺伝子欠損マウスについては、real-time PCR用のサンプル採取が終了し、現在、トータルRNAの抽出を行っている。 DAP12とFcRγの遺伝子欠損マウスにおける歯の所見については情報がなく、c-fos遺伝子欠損マウスと比較検討した報告は過去にない。従って本研究結果は、これらの分子の新たな機能を提供し得るものであり、歯の成長・萌出メカニズムの解明の一端を担うものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で使用するc-fos遺伝子欠損マウスはホモ(-/-)のノックアウトマウス同士の交配ができないため、ヘテロ(+/-)同士の交配により個体を得ることから、サンプルを必要数採取するのにかなりの時間を要し、研究の進行に遅れが生じてしまった。また、TRAP染色が安定して行えなかったため条件設定の見直しが必要となり、採取済みサンプルの解析等にも遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロCT解析については、線計測と骨密度測定の結果の統計学的検討に入る。TRAP染色を用いた検討においては、TRAP陽性細胞数の計測を行う予定である。c-fos遺伝子欠損マウスのサンプル採取に遅れが生じている点に関しては、交配用ケージを一時的に増やし、得られる個体数を多くすることで対応する。c-fos遺伝子欠損マウスは、軟食を与える等の工夫を試みたが、生後4~6週齢までしか飼育できないことから、12週齢のサンプル採取は断念する。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究で使用するc-fos遺伝子欠損マウス(-/-)は出現率が低く、個体を得ることが難しいことから研究に遅れが生じ、当初予定していた実験を行うことができなかったため未使用金額が発生した。 (使用計画)次年度に延期したc-fos遺伝子欠損マウスを用いた組織学的検討・マイクロCTによる骨量・骨密度の計測・mRNAの定量に加えて、その他の系統のマウスを用いた各種解析を行うために必要な経費として使用する。
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