2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11004
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
船戸 紀子 東京医科歯科大学, 医歯学研究支援センター, 准教授 (10376767)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 下顎 / 口蓋 / 遺伝子改変マウス / 転写因子 / 形態異常 / オントロジー解析 / Hand2 / Tbx1 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】顎顔面に症状を持つ症候群では、下顎の形態異常を伴うことが多い。現在の脊椎動物のほとんどは、下顎を持った新しいグループ、顎口類である。脊椎動物は、顎骨の獲得により捕食機能が増強したことで大きく進化した。顎の形成は、鰓弓組織のどこに上下顎に特異的な遺伝子が発現するかでコントロールされる。bHLH型転写因子Hand2およびHand1は、第一鰓弓のうち下顎鰓弓特異的に発現する。本研究では、下顎発生に関わる転写制御ネットワークを解析した。 【方法】組織特異的にHand2およびHand1を強制発現する遺伝子改変マウスをそれぞれ形態学的に解析した。野生型、Hand2遺伝子改変マウス胎児を採取し、トータルRNAを抽出した後、マイクロアレイにてHand2が発現調節する遺伝子群についてオントロジー解析を行った。また、変化が認められた遺伝子群について、野生型および遺伝子改変マウス胎児のwhole-mount in situ hybridizationを行い、発現解析を行った。 【結果】Hand2を上顎鰓弓に異所性に発現させると、浸透率100%で二次口蓋を含む上顎骨が消失し、下顎へと形質転換された。上顎鰓弓にHand1を強制発現させたHand1遺伝子改変マウスでも表現型は弱いが同様の所見を認めた。野生型と比較して、Hand2遺伝子改変マウスではホメオボックス型転写因子群の発現変化が顕著であった。野生型とHand2遺伝子改変マウスの上下顎突起において、ホメオボックス遺伝子群の局在の変化が確認された。 【結論】Hand2はホメオボックス型転写因子群の発現調節を伴って上顎を下顎へ形質転換した。Hand転写因子が顎の形成に関わる重要な因子であることから、進化の段階で下顎の獲得に関わった可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Hand2およびHand1を強制発現する遺伝子改変マウスを解析し、その結果を論文にまとめて投稿したところ、一報は出版され、さらに一報は現在改訂中である。Tbx1遺伝子改変マウスの研究結果についても、論文投稿中である。マウス口蓋裂についてまとめてInvited Reviewとして出版した。その他のデータ取得も計画通りに行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画で予定していた口蓋の初期発生に関わる遺伝子群については、ほぼ解析を終了し、論文投稿を行った。引き続き、microRNAの網羅的解析をもとに、研究を遂行する予定である。
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