2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌進展におけるpodoplanin陽性癌関連線維芽細胞 (CAF)の意義
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15K11021
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
徳永 ハルミ (井上ハルミ) 明海大学, 歯学部, 講師 (20711047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草間 薫 明海大学, 歯学部, 教授 (20130479)
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Project Period (FY) |
2016-01-27 – 2019-03-31
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Keywords | 癌関連線維芽細胞(CAF) / podoplanin / 口腔扁平上皮癌 / FAPα / αSMA / TGFβ / 正常歯肉線維芽細胞 / initial education |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は一貫して口腔癌における発生・進展に関しての研究を行ってきている。口腔癌の進展については、podoplanin発現強度の関与、さらに、癌の進展のメカニズムとして、EGF-Src-Cas-Podoplaninシグナル伝達の可能性も示唆した。最近になって、癌の進展には癌細胞そのものの作用よりも、癌細胞を取り巻く微小環境の方が実は重要で、その中心的役割を担っているのが癌関連線維芽細胞、CAF(Cancer-associated fibroblast)と考えるに至った。そこで、podoplanin陽性CAFの口腔癌進展への関与についてαSMAとfibroblast activation proteinα(FAPα)の病理形態学的クロス検索を行った結果、podoplanin陽性線維芽細胞はCAFであり、癌の進展に関与するという結論に至った。次に、CAFに関するvitroの研究として、本研究の3つの計画:1)口腔癌由来株におけるpodoplanin発現動態の検索、2)正常歯肉線維芽細胞株(HGF)におけるpodoplanin発現動態の検索、および3)CAFにおけるpodoplanin発現シグナル伝達機構の検索について研究を進めた。1)については、TGFβ1刺激によるpodoplaninおよびFAPαの発現亢進を確認した。2)については、HGFを癌細胞の上清により培養した結果、podoplaninとFAPαの発現が亢進されたが、αSMAの発現が減弱した。この結果は、免疫染色において、80%近くのpodoplanin陽性線維芽細胞がαSMAに陽性になる結果と矛盾している。これは、CAFの由来は固有の線維芽細胞であり、癌細胞が出す何らかの因子に初めて暴露されるとまず教育を受け、その後筋線維芽細胞の性格を持つようになるという、initial education of fibroblastと考えられる。あるいは、癌細胞の上清の毒性により細胞が多く死滅してしまった可能性も否定できないため、今後の課題として、上清の培養日数を短くするなどして、αSMAの発現動態について更なる実験を重ねていきたい。3)についても、今後さらに実験を重ねていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常歯肉線維芽細胞(HGF)を使用する実験は、継代数が限られるため、再現性をみるのに非常に苦労しているのが現状である。試行錯誤を繰り返した結果、現在ではRNA抽出作業においても問題なく行えるようになった。しかしながら、メディウムの代わりに癌細胞の上清で培養すると多くの細胞が死滅している可能性があり、今後も上清の濃度調整に大きな課題を残している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.TGFβ1によるシグナル経路探索について、どのタンパク質をターゲットにするべきかまだ決めかねている。口腔癌の進展ということであれば、細胞移動能をみるべきであり、TGFβ1→FAK→Rac→RhoAによるcell migrationを考えたい。 2.遺伝子レベルの検索は行ってきているが、タンパクレベルの検索は手付かずの状態である。予備実験では、ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHですら、western blottingで発現を確認できなかった。細胞数が足りなかったのが原因と考える。よって、細胞数を確保する実験系に変えたので、再びチャレンジしたい。
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