2016 Fiscal Year Research-status Report
軟骨石灰化不全ラットの形態異常を規定する分子の解明:頭蓋底軟骨と下顎頭軟骨
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15K11030
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
永山 元彦 朝日大学, 歯学部, 教授 (50298436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 順一 朝日大学, 歯学部, 教授 (20305139)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軟骨内骨化 / Gli1 / インディアンヘッジホッグ / PTHrP |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨石灰化不全を生後自然発症するラット(CCIラット)の頭蓋底軟骨結合や下頭頭軟骨における軟骨内骨化と成長の異常について形態学的な異常がみられた。さらに軟骨細胞におけるインディアンヘッジホッグシグナル(Ihh-PTHrP)、特に転写因子のGli1mRNAの過剰発現とこれに伴う軟骨細胞の増殖と分化抑制が明らかとなり、これらと関連する遺伝子群との関係から、CCIラットはダブルヘテロのCCIラットによる常染色体劣性遺伝による形質発現が考えられる。 1)CCIラット親がヘテロの場合、常染色体に責任遺伝子が存在すると仮定し、Wild typeの近交系SDラットとCCIラットとのF1世代を作成して、表現型を確認した。その結果、平均3:1の遺伝型と表現型の発症率と一致しているため、責任遺伝子は常染色体劣性遺伝形式をとる可能性が高いことが明らかとなった。 2)CCIラットの原因遺伝子座における原因遺伝子の種類を限定するために連鎖解析を行い、軟骨石灰化異常が単一遺伝子の異常で生じるかを調べたが、候補遺伝子までの検索にまでは至らなかった。 3)下顎頭軟骨や軟骨結合部のパラフィン切片から軟骨の各細胞層におけるmRNAならびにタンパクの部位特異性を検索した結果、軟骨細胞層の静止層: PTHrP, Collagen type IIA ; 増殖層:Histon H4C, PTHrP recepter, 前肥大層:Ihh, osterix, 肥大層:type X, osteopontin, MMP 9 and 13, osteocalcin 等について検索した結果、軟骨細胞の過剰増殖(増生)が生じている一方、PTHrPシグナルの亢進には関与していないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロアレイ結果の解析(KEGG)による結果に多種多様の可能性が上がったために、各異常の解析に時間を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイに加えて、リアルタイムPCRによる特定遺伝子のアップレギュレーションとダウンレギュレーションについて、定量的な検索を加える。さらに、CCIラットの他の症状として、不妊が挙げられる。これは子宮粘膜のグリコサミノグリカンの異常による受精卵の生着が妨げられることが示唆されており、アグリカンを始めとする軟骨に存在する基質成分の異常に繋がっていることが関連していることが想定される。このような全身性の検索との照らし合わせにより、さらに異常分子の特定に絞り込んでいけると考える。 主要なヘパラン硫酸であるアグリカンの発現異常も検索の対象として進めている。 これまでの検索から、この骨軟骨形態に基づく発育異常は軟骨基質形成のGAGの主成分であるアグリカン合成過程に異常があるのではないかと予測し、ISHとマイクロアレイによって部位特異的に軟骨細胞にGli1の異常高値がみられ、明らかな軟骨細胞の増殖亢進に繋がることが判明した。今後は、さらに他の遺伝子との関連を検索するとともに、単一遺伝子原因を中心としたヒトの骨系統疾患にみられる発育異常に対応できるかを検討する。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイ解析と組織学的検索にかかる物品費が遅滞に伴い、実施できなかった分が次年度使用額として残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイ解析と組織学的検索、これに伴う試薬等の物品費と成果発表の準備を計画している。
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